下院の憲政委員会(CCJ)が28日、テメル大統領(民主運動党・PMDB)の告発問題に関する報告官をボニファーシオ・デ・アンドラーダ下議に決めたが、同下議が所属する民主社会党(PSDB)が心象を害し、やめさせようと圧力をかけたと29日付現地紙が報じている。
今回の報告官選出に関し、PSDB党内では憤慨する声があがっている。それは同党がCCJ執行部に、「今回の審議に関する報告官は、PSDBから選ばないでほしい」との事前通達を行っていたにも関わらず、ロドリゴ・パシェコ委員長(PMDB)がボニファーシオ氏を選んだからだ。
CCJでは7月に、テメル氏に対する1回目の告発に関する審議を行ったが、最初の報告官の報告書が否決されたため、PSDBのパウロ・アビ・アケル下議が2人目の報告官をつとめた。だが、本会議で大統領告発の審理継続をめぐる投票を行ったところ、同党の票がほぼ真っ二つに割れる事態が生じていた。
同党では現在、党首停職中のアエシオ・ネーヴェス上議に近い筋が連立与党への残留を希望。党首代行のタッソ・ジェレイサッチ氏や、ジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事に近いサンパウロ州支部の下議らが連立離脱を求めている。アエシオ氏とアウキミン氏は、党内で過熱し始めた大統領候補争いでもライバル関係だ。
だが、CCJ執行部から約束を反故にされたのみならず、選出されたのがボニファーシオ氏というのが党内に波紋を投げかけた。それは、ボニファーシオ氏が、アエシオ氏の膝元であるミナス・ジェライス州選出下議だからだ。
ボニファーシオ氏は下議最高齢の87歳で、1979年に下議に初当選して以来、現在が10期目だ。1989年の大統領選に現下議で元サンパウロ市市長のパウロ・マルフ氏が出馬した際は、副候補をつとめた実績もある。
ボニファーシオ氏はアエシオ派である上、自身のフェイスブックでは、アントニオ・インバサイ大統領府総務室長官(PSDB)やモレイラ・フランコ大統領府事務局長(PMDB)といった現テメル政権の閣僚との親しげな写真が度々載せられている。
こうした経緯から、PSDBはボニファーシオ氏に対して報告官を降りるよう圧力をかけ、タッソ党首代行も、本人に直接電話をかけたという。だが、ボニファーシオ氏自身は「降りる意思はない」として報告官をつとめる意向でいるという。