地理統計院(IBGE)が9月29日に発表した全国家庭サンプル調査(Pnad)の結果によると、ブラジル国内の全労働者の給与総額はこの1年間で50億レアル増加したと、9月30日付現地紙が報じた。この現象は、労働者数が増えた事に起因している。
今年6~8月の国内労働者の給与総額は1867億レアルだった。経済学者たちは、国内で流通する資金の増加は、消費や需要、雇用の拡大に繋がるとみている。
応用経済研究所(Ipea)のマリア・ラメイラス研究員は、「これは経済拡大のために非常に重要な事。平均給与が若干下がっても、それを埋め合わせるほど就業者が増えれば、家庭消費は伸び、国内総生産(GDP)も上向く」と語る。今年6~8月の国内労働者給与総額は、昨年比で2・7%増大した。
投資顧問会社テンデンシアス・コンスウトリア社は、この傾向は簡単には終わらないと見ており、同社経済分析員のチアゴ・シャヴィエル氏は、「給与総額の増大は今後数カ月のGDPの成長を支える。ただ、投資の回復は来年になるだろう。なぜなら、以前持たれた期待に基づいて設置された設備などがまだ、大きく稼動していないから」と分析した。
6~8月期の給与総額は、直前の3~5月期より16億9600万レアル、比率にして0・9%上昇した。しかしながら、国民1人あたりの平均給与は2105レアルで、0・5%減少した。
投資顧問会社のローゼンベルグ・アソシアードス社のエコノミスタ、レオナルド・コスタ氏は、「失業率は依然として高く(最新調査では12・6%)、まだまだ、就業者が増えて人々の所得が増加したのを受けて消費が加熱、インフレを懸念する必要が出るほどまでには至っていない」と語った。