移民110周年に向けて、日本の伝統産品などの関連企業と県人会を繋ぐ『ふるさと産品プロモーション』構想が明らかにー。先月28日、文協ビルの県連事務所で行われたブラジル日本都道府県人会連合会(山田康夫会長)の「9月度県連代表者会議」で、ブラジル日本移民110周年記念式典実行委員長の菊地義治氏は、日本貿易振興機構(JETRO)サンパウロ事務所が企画中の同構想について説明した。そのほか、会議では菊地委員長からの訪日報告や、ワールド・ギネス・レコード申請などについて説明が行われた。
『ふるさと産品プロモーション』は、日本全国に事務所を持ち、日本各県の伝統産品や食品などを生産・販売する企業と繋がりを持つJETROが、県連と協力して、企業のブラジル進出を援助するというもの。
同企画の一環として、来年の日本祭りにJETROのブースを出展し、県連の協力を得て、日本の特産品の販売を目指している。そこで県人会が商談の仲介をするなど、県人会と母県の企業が協力し合う形を作るという。
菊地委員長は、「日本の中小企業がブラジルで安心して商売しやすくなり、日本祭り、各県人会、県連の活性化も期待できる」と見通した。
また菊地委員長は、今年5月に続けて、8月27日から9月11日にかけて二度目の訪日を実施。各県に来年の日本祭りと移民110周年記念式典への出席を要請したことに触れて、「各県が協力の姿勢を示し、実現に向け努力してくれている」と笑顔で報告した。
ギネス・ワールド・レコード登録については、市川利雄副会長から説明された。47都道府県全ての県から郷土料理を1品、登録のために提出する。料理数の多さがギネス登録の条件となるため、味やサイズは評価対象にはならない。
市川副会長は、「日本企業や日本はギネスへの関心が高い。同祭りの市場価値を上げることや来場者増、日本へのアピールが狙える」と同企画の意義を語った。
県連とブラジル日本語センターが共催した『第11回弁論大会』で優勝した奥田シンジさん(18、四世)が「自分の在り方」というテーマの作品を発表。
自分の気持ちに素直に生きることを訴え、「偽りの自分を演じること」に疑問を呈した。奥田さんの流暢な日語での発表に聞き入った会議出席者らは大きな拍手を贈った。
7、8月度の会計報告も行われ、7月度は収入135万747レアルの収入、支出は132万2553レとなった。8月度は収入74万7547レ、支出が76万4921レとなった。
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JETROの「ふるさと産品プロモーション」はサンパウロ事務所の大久保敦所長(52、群馬)による発案。県連会議の後日、取材に応えた大久保所長は「まだ企画の段階」とした上で「日本の各県に事務所があるJETROと、47都道府県の県人会があるブラジルならではの企画。もし本当にできれば来年度事業の柱の一つになるのでは」と期待を見せた。
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大久保所長は日本でJETROの富山県事務所に勤めていた経験があり、ブラジル側、日本の地方の生産者両方の事情に通じているそう。「前から『県人会と母県を繋げたら面白そう』と考えていた。日本祭りの規模も年々大きくなっている。日本産品を紹介・販売する場所をつくり、日本祭りをさらに盛り上げるとともにビジネスに繋がるメカニズムが作れると思う」と語った。企画実現のために、ブラジル側の輸入業者を探しているそう。JETROサンパウロ事務所初の企画に期待大!?