ブラジル世論調査・統計機関(Ibope)が9月に行った調査によると、「自分が何らかの偏見を持っている」と認めた人は2割以下だったが、少なくとも一度は差別的な言動をするか聞いた事がある人は8割以上いる事が分かった。9日付現地紙が報じている。
調査責任者のマルシア・カヴァラッリ氏は、「ブラジル人は、自分達が何気なく口にする言葉が偏見に満ちているという認識がない」と語る。調査では2002人に「あなたは偏見を持っているか」と聞いた。それに対し、「そうだ」と答えたのは17%で、83%は「そうではない」と答えた。
カヴァラッリ氏によると、『偏見を持っているか』と直接聞けば、多くの人が『持っていない』と答える。だが、差別的な表現を示し、『こういう表現を使った事があるか』と聞けば、その割合は増加する」とした。
調査では、多くの偏見の中でも、男性優位主義が最も幅を利かせている事が分かった。61%が男性優位主義的言動をするか聞いたことがあると答えた。
性差別の次には、人種差別が最も頻繁に行われている事が分かった。46%が、黒人に対して差別的言動をするか聞いた事があると答えた。
サンパウロ総合大学(USP)法学博士のシウヴィオ・アウメイダ氏は、「差別は構造的なもので、ことさらに声を上げて行われる事は少ない。調査結果は社会での差別や偏見を減らすための取り組みへのヒントとなる」と語った。
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