10日、下院憲政委員会(CCJ)でテメル大統領に対する2度目の告発受け入れに関する審議が行われ、報告官のボニファシオ・デ・アンドラーダ下議(民主社会党・PSDB)が、この告発を承認しないよう強く求めたばかりか、検察庁や司法界に対する批判まで行った。11日付現地紙が報じている。
今回の告発は、テメル大統領が民主運動党(PMDB)の下院部門が公共機関を中心に5億8700万レアルの損害をもたらした汚職計画を率いていた容疑と、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の捜査妨害の容疑によるもので、最初の容疑では、エリゼウ・パジーリャ官房長官とモレイラ・フランコ大統領府事務局長も告発対象となっている。
ボニファシオ下議はこの日、これら二つの容疑による告発を最高裁で審理するか否かについての意見書を読み上げた。
それによると、テメル大統領らに対する告発には決定的な証拠がなく、告発は受け入れ難いという。また、最初の容疑に関しては、「暫定大統領に就任した16年5月以前の罪で咎めることはできない」という原則があり、下議時代の容疑で大統領を告発することはできないとした。
ボニファシオ氏は7~8月に行われたテメル大統領への最初の告発に関する審議の際も、告発拒否に票を投じている。
ボニファシオ氏は告発受け入れに反対するだけでなく、政党に対する検察庁の姿勢も批判した。同下議によると、検察庁は「長年にわたって社会の声を代表してきた政党を、犯罪集団の如く扱っている」という。同氏はまた、ルーラ元大統領やジウマ前大統領、労働者党(PT)や進歩党(PP)、PMDBの主要政治家についての告発も、明確な証拠はないと、検察のあり方を批判した。
同氏は更に、「近年は立法府の権力が弱まり、連邦警察や検察、司法府の権力ばかり増大している」とも批判した。
この意見書に対して、主に野党からは「大統領たちの弁護士の言い分をそのまま取り入れた、検察や連警、司法府への批判にすぎない」との不満の声も上がった。
CCJでは、審理継続擁護者と継続に反対する側が意見を戦わせた後、意見書を承認するか否かの投票を行う。連邦政府側は、CCJ内の投票では、現在、連立状態が微妙になっているPSDBやブラジル社会党(PSB)の票も含めて、過半数の33票をゆうに超す38票から44票を獲得できると見ている。投票は来週の17日の見込みで、下院本会議での投票は24日頃の見込みだ。
10日は、ロドリゴ・ジャノー前検察庁長官の要請を受けたエジソン・ファキン最高裁判事が、LJの捜査妨害で告発されていたPMDBのロメロ・ジュカー、レナン・カリェイロス両上議、元大統領のジョゼ・サルネイ氏の件のお蔵入りを決めた。トランスペトロ元総裁のセルジオ・マシャド氏の録音に基づく告発は、連警が証拠不十分との意見書を出していた。