【既報関連】ブラジル連邦検察庁は10日、JBSの社主である、ウエズレイ、ジョエズレイのバチスタ兄弟をインサイダー取引と市場不正操作の容疑で告発したと、11日付現地各紙が報じた。
検察からの起訴状は、連警がアキレス腱作戦の最終報告書を提出した翌日に、サンパウロ市バラ・フンダの連邦地裁に送られた。検察は、インサイダー取引は為替、株式の取引両方で行われたとしており、2人が不当に得た利益は総計2億3800万レアル(83億3千万円相当)に上ると見ている。
2人はテメル大統領も汚職に関わっていたことをにおわせる会話の録音などを添えた報奨付供述を行い、その中身がマスコミに暴かれる(5月17日のJBSショック)ことで為替や株式相場が大きく動くことを見越して、自分たちに有利になるようなドル買いやJBS株の売買を行った。
タメア・ダネロン検事は、ドル買いに関して、ジョエズレイ容疑者の関与は認められず、 ウエズレイ容疑者だけが罪に問われるとした。罪が認められれば、量刑は3~18年の禁固刑だ。
検察庁の告発は、有価証券取引委員会(CVM)提供のデータ、ウエズレイ容疑者の通話アプリ音声記録、さらに取引を行う命令を受けたJBS職員の供述などに基づいている。JBS職員は「午後の終わりになってのドル買いは普通のことではない」と供述しているという。
JBS株の取引には2人が関与したと、検察は結論付けている。株式取引に伴う罪の量刑は禁固2~13年だ。「彼らが市場で何が起こるかを理解した上で、自分たちの利益になるように画策したことは証明できる」と語るのはチアゴ・ノブレ検事だ。
違法な利益は為替取引で1億レアル、株式で1億3800万レアルと見られているが、CVMが独自に行った捜査によると、2人にはその他の容疑もあり、最終的な罰金は、最大で利益の3倍に及ぶ可能性もある。
2人の弁護士ピエルパオロ・ボッチーニ氏は、2人が行った取引に違法性はないとしている。
ジョエズレイ容疑者は9月10日に報奨付供述での情報隠匿疑惑で逮捕された後、サンパウロ州の刑務所に移送された。ウエズレイ容疑者も9月13日にインサイダー取引疑惑で逮捕され、共に無期拘留状態にある。