下院のサイトに、ラヴァ・ジャット作戦で逮捕中の民主運動党(PMDB)のロビイスト、ルシオ・フナロ被告の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)のビデオが最高裁の許可のないまま流れ、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)と連邦政府の間が不穏な雰囲気となっている。16日付現地紙が報じている。
問題のビデオは、フナロ被告が8月23日に連邦検察庁で行った報奨付供述の様子などを映したものだ。ビデオの内容には、下院憲政委員会で審議中のテメル大統領の2度目の告発に関連する供述も含まれ、下院での審議の行方を握るカギともいえる重要なものだ。
ビデオの中では、PMDBの不正や、JBS社社主のジョエズレイ・バチスタ容疑者とPMDBの間の賄賂のやり取りの実際、同容疑者から口止め料を受けとり、捜査妨害をはかったことなどが語られている。
これらのビデオは9月22日に、最高裁から下院議長に送られて来た。ただ、問題だったのは、最高裁のラヴァ・ジャット報告官エジソン・ファキン判事は、このビデオの公表どころか、フナロ氏のデラソンそのものに関し、公表許可を出していなかったことだ。
このビデオの公表を決めたのは下院執行部でマイア議長に近いヴァギネル・ソアレス氏だったといい、9月29日から下院のサイトに掲載されていた。
これらのビデオの存在が取り沙汰されはじめたのは13日で、連邦政府は強い不快感を示した。テメル大統領の担当弁護士、エドゥアルド・カルネロース氏はこれらのビデオ漏洩を「犯罪行為」と呼んだ。一連のビデオの中には、今回の告発案件ではないが、テメル大統領が大統領令でサンパウロ州の港湾企業に便宜を図ったとされる疑惑に関する供述なども含まれている。
マイア議長はソアレス氏をかばってカルネロース弁護士に反論し、謝罪などは行わなかった。
マイア議長はテメル大統領に深い忠誠を尽くす人物として知られていたが、党の方針を巡って分裂危機にあったブラジル社会党(PSB)の反乱分子をDEMが受け入れようとしていたのに、PMDBが奪い去ってからは関係が悪化していた。
マイア議長が10日の下院本会議で、中央銀行や有価証券取引委員会の処罰権を強め、犯罪行為を行った銀行や金融機関が事実を語った場合は処罰軽減化も認めるという内容の暫定令(MP)の投票を行おうとした際、連邦政府の働きかけで与党議員が欠席し、審議できなかったことも、両者の関係を悪化させた。
連邦政府はテメル大統領への告発阻止を最優先させるため、憲政委員会の審議を止めたくなかったが、本会議を開催すれば、委員会の審議は停止せざるを得ないからだ。マイア議長は同日、下院は今後、MPの審議は行わないと宣言した。