ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》法定アマゾンの森林伐採面積が16%減る=3年ぶりの減少に胸張る政府=未だ不十分と環境保護団体

《ブラジル》法定アマゾンの森林伐採面積が16%減る=3年ぶりの減少に胸張る政府=未だ不十分と環境保護団体

パラー州で森林伐採の監査をする監査員(参考画像・ASCOM/ SEMAS)

パラー州で森林伐採の監査をする監査員(参考画像・ASCOM/ SEMAS)

 【既報関連】環境保護活動家や団体から法定アマゾンの森林保護に消極的だとの批判を受けていたブラジル政府は17日、16年8月から17年7月までの1年間の法定アマゾンの森林伐採面積は、前年より16%減少したと発表したと、18日付現地各紙が報じた。
 国立宇宙調査院(Inpe)のProdesという衛星の画像に基づいて算出されたデータによると、同期間中の伐採(完全に植物が失われた)面積は、6624平方キロだった。
 ブラジル政府は、今年の伐採面積は、今世紀に入って最悪の結果だった04年の2万7772平方キロと比べ、76%も減少したと胸を張るが、前年比増が続いていた過去2年間の伐採面積上昇率は50%を超える(15年24%、16年27%)。
 08年に1万2911平方キロを記録してからの伐採面積は、常に1万平方キロを下回り、12年には4571平方キロまで減った。だが、その後はまた伐採面積が拡大し始め、15、16年は2年連続で前年の数字を上回っていた。現在のブラジルは、09年制定の「気候変動に関する法」で規定された、「2020年までに法定アマゾンの森林伐採面積を年3900平方キロにする」という目標には程遠い。
 今年のデータは、テメル大統領に報告された後に、サルネイ・フィーリョ環境相とジウベルト・カサビ科学技術相によって公表されたが、今年は慣例の記者会見は行われなかった。
 サルネイ環境相も大統領側近筋も、今年の結果はテメル政権が発足して以来、初の具体的な結果だと強調している。
 サルネイ環境相は取材に対し、「伐採が減ったのはIbamaやICMBioなどの監視機関の予算を見直し、伐採を厳しく監視したからだ。これを続けていけば、さらに伐採を食い止める事は出来る」と語った。
 同相は、政府が批判を受けている、銅関連品国立保護区(Renca)の開発許可や、ジャマンシン保護区縮小について問われると、森林保護政策の後退ではなく、特にジャマンシン保護区の伐採は今年大きく減少したと答えた。
 環境保護団体は、今年の伐採面積減少は重要だが、手放しで喜ぶのはまだ早いとしている。非政府団体のアマゾン人間環境院(Imazon)のパウロ・バレット氏は、「今年の伐採面積は、最少だった12年より49%も大きいし、今年の森林伐採減少は、政府の努力よりも、家畜の価格低下によるところが大きい」としている。