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《ブラジル経済》=8月のつまずきは一過性?=回復ペースの緩慢さが原因か

 8月の経済活動指数のいくつかは、工業(0・8%減)、小売業(0・5%減)、サービス業(1%減)のように、前月の実績を下回ったが、経済学者たちは、これは一過性のつまずきで、再度の景気後退を起こしているわけではないと見ていると、18日付現地紙が報じた。
 投資アドヴァイザー会社、XPインヴェスチメント社の主席エコノミストのゼイナ・ラチフ氏は、「ブラジルは景気回復の端緒についたばかり。景気回復の途中で単発的にこうした事が起こるのは不思議ではない」と語った。
 識者たちは、8月の落ち込みは、景気回復の傾向を変えてしまうほどではないが、回復の勢いが弱い事は明らかで、その理由の一つは政治の不安定さだと答えた。
 識者たちはまた、経済の基礎的事項は改善されており、各指標は数カ月以内に再び上昇し始めるはずだと見ている。
 テンデンシアス社マクロ経済、政治分析責任者のアレッサンドラ・リベイロ氏は、「8月の若干の落ち込みは一過性。7月までは勤続年数保障基金(FGTS)休眠口座からの引き出し解禁の影響が大きかった。8月はそれがなくなったのだから、若干の落ち込みは当然だ。雇用状況も回復し始めている。これは消費を支える本質的な要素だ。消費が戻れば、結果的に産業も活発化する」と語った。
 ラチフ氏は、昨年10月は年利14・25%だった経済基本金利(Selic)が8・25%まで下がったことの効果は来年、クレジット(融資)の利用拡大などの具体的な形をとって出てくるはずとした上で、融資の利用拡大は景気回復のペースを高めるための本質的要素だと強調した。
 産業開発研究所(Iedi)のエコノミス、ラファエル・カジニン氏は、「当面の景気回復の躍動感は低いままかもしれず、ここ数年の激しい落ち込みを取り戻せないだろう」と語った。
 事実、8四半期連続で落ち込んだ後なのに、今年第1、第2四半期の国内総生産(GDP)成長率は、1%と0・2%に過ぎない。
 ジェツリオ・ヴァルガス財団のマウロ・ロクリン氏は「中期的視野で見た場合、来年の選挙後、新しい大統領が財政改善を行うか否かが不明瞭な事が、経済回復に必要な投資が伸び悩む理由になっている」と語った。