男子サッカーU17(17歳以下)ワールドカップの準々決勝ブラジル対ドイツ戦が22日、インドのコルカタ(カルカッタ)で行われ、ブラジルがドイツに2―1で逆転勝利を収め、準決勝進出を決めた。
ブラジル対ドイツと言えば、世界に衝撃を与えた、3年前ブラジルワールドカップ準決勝の7対1の因縁を抜きに語る事は出来ない。
「7対1のリベンジを果たした気持ちは?」「(7対1の事があるから)絶対に負けたくないと思っていたのでは?」などと、美味しいコメントを引き出そうとするレポーターの質問にも、メディア慣れした選手たちは「特別な意識はありませんでした」と返すばかりだった。
しかし、パルメイラス所属のアランジーニョは、「7対1の屈辱を忘れることなんてできない。リオ五輪では一応PK勝ちだったけれど、ブラジル国民の心の中にまだまだあの痛みは残っている。これから少しずつあの辛さを忘れられるかもしれない」と率直な胸の内を明かした。
逆転のミドルシュートを決めたヴァスコ・ダ・ガマ所属のパウリーニョは「7対1の事は忘れて、僕たちは自分たち自身の歴史を作っていこうと言い合っていた。勝てて自分たち自身の歴史を作れた」と語った。
今大会のブラジルは、1次リーグ初戦の強敵スペイン戦こそ2―1で逆転勝利と、チームに自信がつく勝ち方をしたが、その後の1次リーグの2試合(北朝鮮、ニジェール戦)と、決勝トーナメント一回戦のホンジュラス戦は、勝ちこそすれ王者の貫禄を見せつけるほどではなく、ドイツ戦ではもう一度、優勝候補に名乗りを挙げるにふさわしい内容での勝利が求められていた。
パウリーニョは「勝利こそがチームをますます強くする。このドイツ戦もしっかり反省してチームの糧とし、次の準決勝イングランド戦に臨みたい」と語った。
この世代はなんと言っても、既にフラメンゴでプロデビューを果たし、18歳になったらスペインの世界的名門クラブ、レアル・マドリード移籍が内定しているFWヴィニシウス・ジュニオールが有名だが、そのヴィニシウスはフラメンゴが「もう彼は大人のプロの試合で立派な戦力」と、U17代表への供出を、大会直前で拒否した。
それでも、フラメンゴのリンコン、サンパウロのブレナー、パルメイラスのアランジーニョ、ヴァスコのパウリーニョ、コリンチャンスのヴィチーニョなど、タレントにはこと欠かず、ドイツ戦で同点ゴールを決めたウェヴェルソンは途中出場の控え選手だ。
25日の準決勝でイングランドを降せば、決勝の相手は、1次リーグ初戦で降したスペインが有力だ。
ブラジルの強豪クラブはおろか、世界トップレベルのクラブからの誘いの声が引きも切らないヤングブラジルは、トップスターへの登竜門というべきこの大会で優勝を飾る事が出来るか?(規)