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《ブラジル》ゴイアニア市=銃乱射の犠牲者2人埋葬=「誰も息子を裁かないで」

 【既報関連】20日午前11時50分頃、ゴイアス州ゴアイアニアの私立校ゴイアゼスで14歳の少年が銃を乱射する事件が起き、ブラジル中に衝撃を与えた。

 21~23日付現地紙によると、銃を乱射した少年は常に「臭い」とからかわれていたが、級友の一人がデオドラントを持って来た事で堪忍袋の緒が切れたという。

 少年の両親は軍警で、犯行に使った銃は母親のものだった。射撃はインターネット動画などで覚えたといい、いじめに対し、銃で報復するという考えは、1999年に米国で起きた生徒12人と教師1人が死亡した銃乱射事件と、2011年にリオ市レアレンゴで起きた生徒12人と犯人自身が死亡した銃乱射事件にヒントを得たという。

 事件が起きたのは休憩時間で、級友達の証言によると、少年は銃をカバンから取り出す際、無意識に1発を発射。何の音だろうと思った級友達が少年が手にした銃に驚くのと、少年がすぐ後の席にいたジョアン・ペドロ・セレンボ君(13)に発砲したのはほぼ同時だった。ジョアン・ペドロ君は頭に被弾し、亡くなった。少年はその後、「こうなったら全員殺してやる」と呟き、銃を乱射し始めたという。

 もう1人の犠牲者は、1年の時からの級友で、前日も共同作業の宿題を一緒にやったジョアン・ヴィトル・ゴメス君(13)だ。その他にも、女子生徒3人と男子生徒1人が被弾し、病院に運ばれた。男子生徒は22日に退院したが、女子生徒3人はまだ入院中だ。

 ジョアン・ペドロ君とジョアン・ヴィトル君は21日に埋葬されたが、ジョアン・ペドロ君の父親は「息子は教会にも通い、兄弟の面倒見も良い子だった」「昔は遊びや冗談で済まされた事が現在はいじめといわれる」とし、少年をいじめたせいで息子が殺されたという説を否定した。同君の母親も「心が引き裂かれている」とのメッセージと共に、「メディアの報道だけで息子や家族を裁かないで」とネット上で呼びかけた。

 惨事がこの程度の規模で収まったのは、少年が銃の弾を込め直そうとした時に少年に近づいてなだめ、図書室に導いた女性教師のおかげだ。学校側は文書で弔意を表すと共に、いかなるタイプの断罪行為も行わないよう呼びかけた。

 いじめはブラジルでも深刻な問題となっているが、冗談といじめの区別が困難など、その認識や対応は不十分で、現場の教師や指揮者の間でも議論が繰り返されている。今回の事件は、銃が身近にある事の弊害についても議論を呼びそうだ。