地域活性化を目指して、日系社会と地元政治家の親睦を深めることを目的とした聖南西文化体育連盟(UCES、山村敏明会長)主催の『第8回晩餐会』が、20日夜、サン・ミゲル・アルカンジョ市コロニア・ピニャール文化体育協会会館(貴田孝平会長)で開催された。年に一度、連盟傘下の文協にて持ち回りで行われる晩餐会。今年は、枇杷祭りと全伯大会優勝チーム飛翔太鼓の両輪で活気づくコロニア・ピニャールで開催され、およそ50人が一同に会し、懇親を深めた。
1962年12月に福井県から3家族14人が第一陣として入植し、移住振興会社(現国際協力機構)の直轄移住地として開発された同村。入植50周年を機に、葡萄に次ぐ主要作物として枇杷が成長したことを受け、〃村おこし〃として始められた同祭が年々盛上るなど、活性化しつつある同文協が会場となった。
式典には、山村会長、山下高広同文協第二副会長のほか、パウロ・リカルド・ダ・シウバ同市長、ジョアン・ジウベルト・サレス・アウバッチ同市議会議長、ピラール・ド・スル市のアントニオ・ジョゼ・ペレイレ市長、レジストロ市のジウソン・ワグネル・ファンチン市長、セッテ・バラス市のデン・マルチンス市長ほか、飯星ワルテル連邦下議、キクドメ・ペドロサンパウロ州議、野村アウレリオ市議の3議員の秘書が出席した。
挨拶に立った山村会長は、「地域で開催される行事は、その地元の市と密接に関るもの。それを実現するためには、協力が欠かせない。日系団体と地元政治家が一同に会し、親睦を深め結束を強化することが狙いだ」と意義を語り、「文化行事を促進することで、観光資源として地域の発展に繋がる」と強調した。
サン・ミゲル・アルカンジョ市のパウロ市長も「同市の産業は、ほぼ100%が農業で占められる。福井村は枇杷祭りが第五回目を迎えるなど、地元日系社会は農業を力強く支えており、皆さんの協力が欠かせない」と称賛。貴田会長に代わり挨拶した山下第二副会長も「農業への引続きのご支援をお願いしたい」と協力を要請した。
その後、乾杯の音頭をとった同村創立会長の山下治さんは「福井県、南伯農業共同組合、国際協力機構が、三位一体となって移住地を発展させてきた」と同村の歴史を振返り、先月の全伯短歌大会で二位となった山元治彦さんの短歌〈一命を賭して巨悪にたちむかう若き判事は国の光明〉を引用し、「モーロ判事のように一命を賭して頑張ってもらいたい」と出席者を激励した。
その後、同文協婦人部らによって準備された豪華な食事に舌鼓し、出席者は懇親を深めた。その間、同村の〃期待の星〃とも言える飛翔太鼓の演奏が行われると、一糸乱れぬ熱演に会場からは盛大な拍手が送られた。
目を細めて若手の活躍を見ていた山下さんは、「連盟傘下ではコロニア・ピニャールは一番小さな文協。会員数も少なく、日頃の負担は大変。でも、聖南西のお陰で色々なことが出来ている。組織がなければ何も出来ないよ」といい、感謝を滲ませた。
晩餐会を終えて、山村会長は「選挙の年は議員がうんと来るが、今年は各地から市長が駆けつけてくれ、それに議員が連れ立って参加してくれた」と喜び、「灯篭流しや柿祭りなど、市が積極的に行事を支援してくれ、感謝している」と手応えを語った。