ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》大統領が滞納税回収計画を告発受け入れ採決直前に裁可=財務省の拒否要請は2つだけ採用=税収か告発阻止かで微妙な判断

《ブラジル》大統領が滞納税回収計画を告発受け入れ採決直前に裁可=財務省の拒否要請は2つだけ採用=税収か告発阻止かで微妙な判断

メイレレス財相(Wilson Dias/Agência Brasil)

メイレレス財相(Wilson Dias/Agência Brasil)

 【既報関連】テメル大統領(民主運動党・PMDB)への2度目の告発受け入れの是非を問う下院投票前日の24日、テメル大統領は、新規の滞納税回収計画(Refis)を定めた暫定令(MP)を、4項目に拒否権を行使した上で裁可したと25日付現地紙・サイトが報じた。
 これは、Refis裁可を望む議員団からの、「告発阻止の交換条件として急ぎの裁可を」との要請に応えた格好だ。
 Refisとは、企業や個人が滞納している税金や社会保険料などを、分割払いさせて回収するプログラムだ。
 財務省からは6項目を拒否するよう要請が出ていたが、二つしか拒否されず、国税庁からは不満の声が出ている。
 経済政策スタッフはこの決定に不安を抱いており、将来的な税収に悪影響を及ぼす危険があると見ている。同スタッフによると、今年のRefisによる税収は当初130億レアルの見込みだったが、60~70億レアルにとどまりそうだ。
 Refis関連のMPは、9カ月に及ぶ政府と議会との折衝の末、今月5日に上院で承認されていた。
 今年の財政目標である「赤字上限1590億レアル」を達成するため、Refisの税収は重要だ。しかし、Refisの納税義務を負っている下院議員らが、より寛容な措置を取るよう、圧力をかけていた。
 Refisの適用申請は今月一杯だが、大統領裁可は11月1日まで時間があった。下院の同MP報告官のニュートン・カルドーゾ下議(PMDB)は、大統領府が、Refis申請期限を15日延長する新規MPを出すだろうと語った。
 24日の新規Refis裁可がなければ、債務を抱えていた個人や法人は、旧来のRefisの規定に沿い、初回返済金がより高額な返済プランでの返済を義務付けられるはずだった。新規Refis裁可により、返済はより容易になった。
 拒否権行使で無効となった項目は、簡便化された納税システムを利用している零細・小企業に債務分割を認めた項目、分割払い時の支払い額をごく小額にする項目、税額控除時に所得税や社会統合基金/社会保険融資納付金(PIS/Cofins)の税率をゼロにする項目、2000年にRefisに申し込んだが債務不履行に陥っていた個人、法人が新規Refisに申し込むことを禁じた項目の四つだ。