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国際交流基金=全伯日本語スピーチコンテスト=「ここまで票割れるのは初めて」=優勝はパラナ州のオフィルさん

参加者全員による集合写真。前列中央がオフィルさん

参加者全員による集合写真。前列中央がオフィルさん

 国際交流基金は「第23回全伯日本語スピーチコンテスト」を22日、ジャパン・ハウスで開催した。全伯10州から12人が出場し、自由なテーマでスピーチを行ない、パラナ州ベレンから参加した非日系人のオフィル・ジョゼ・アルビン・マルケス・ダ・シルバさん(26)が優勝を勝ち取った。

 

 「ここまで票が割れたスピーチコンテストは初めて。本当にレベルが高かった」――。審査委員長を務めた国際交流基金の日本語上級専門家、福島青史さんが講評を述べ、順位決めが難航したことを滲ませた。

 審査基準は、テーマの選び方、事例の適切さ、内容の構成、言葉の使い方、話し方、質疑応答の6つ。2年前から日本語そのものに関する項目が減り、発表者の意見のユニークさが重視されるようになった。スピーチの後に質問があり、参加者はそれに答える。

 優勝したオフィルさんは「ビデオゲームは楽しく役立つ」というテーマで発表。子供のとき母親から「ゲームをやりすぎると頭が悪くなる」と言われたが、現在はテレビゲームが脳の活性化に役立つ研究があると紹介。実際に自分の祖父と毎日一緒にゲームをしたら、祖父の記憶力が向上したという。

 福島さんは「参加者全員が日本語の発音がすごく上手。だから決めるのが難しかったが、『何を伝えたいか』という点で差が出た。それを考えてテーマを決めると印象的なスピーチになる」と話す。

 オフィルさんのスピーチについては「『ゲームは頭に良い』という一貫した主張を、研究や自身のエピソードで補強していて、分かりやすい構成だった」と評した。

 オフィルさんは「他の人も皆上手だったので、自分が優勝できたことが信じらない。震えが止まりません」と話した。優勝賞品として日本行往復航空券と7日分のジャパン・レール・パスが送られた。

 2位のジュリアナ・サエミ・ムラカミさんは、パラナ州クリチバから参加し、テーマは「心の声」。自分のやりたいことを実行することの大切さを伝えた。

 ジュリアナさんは、一度大学の建築科に入ったが、好きな音楽の道を志すために退学。音楽を学べる大学に入り直し、現在は教師になったという。

 3位のブルナ・ユミ・イイモリ・マセドさんは自身の研究分野である地質学の魅力を紹介した。

 そのほか「きれいな日本語賞」、「表現賞」、「奨励賞」が該当の参加者に贈られた。

 今回、参加者12人のうち8人が非日系人だった。来賓のブラジル日本語センターの諸川有朋副理事長は「ブラジル全体としては日本語学習者が減っているが、アマゾン州やペルナンブコ州など日系人が少ない地域では増加傾向にある。今まで日本語に触れていなかった非日系人が日本語を学ぶようになってきている」と話した。