ブラジル連邦議会下院で25日、テメル大統領に対する2度目の告発に対する審理継続を問う投票が行われた。8月の1回目同様、「告発反対」が規定数を上回ったため、今回も最高裁での審理開始は回避されたが、前回より支持数が落ち、下院全体の過半数も割り込むという厳しい結果となった。26日付現地紙が報じている。
今回の告発は、「テメル大統領や現閣僚が、ペトロブラスや連邦貯蓄銀行などの公社における民主運動党(PMDB)の汚職計画を率いた」疑いや、ラヴァ・ジャット作戦の捜査妨害の疑いによるものだった。
投票の結果は、憲政委員会(CCJ)で「根拠がなく、政治家が司法や検察に追い込まれている」として告発回避を勧めたボナファシオ・デ・アンドラーダ下議(民主社会党・PSDB)に賛成(審理継続反対)した議員が251人で、「下院全体の3分の1人以上(172人)」を超えたため、告発回避が成立した。反対は233人、欠席は25人、棄権2人、不投票2人だった。
だが、前回8月の、食品大手JBS社社主のジョエズレイ・バチスタ氏との間で行った収賄疑惑の告発時は「告発反対」に263人が投じていたのに比べると、12人減っており、テメル氏への連立与党からの支持後退をうかがわせた。
フォーリャ紙によると、今回の投票で自分の意見を変えた議員は11人いた。その中にはブラジル共和党(PRB)のように3人が賛成に転じた例もあるが、8人は反対に回った。内訳は、社会民主党(PSD)4人、PSDB1人、PMDB1人、PRB1人、ポデモス1人だ。
また、欠席なども含め、前回より支持票を減らした政党とその票数は、ロドリゴ・マイア下院議長の民主党(DEM)の3人が最も多く、PMDB、PSD、PSDB、共和党(PR)が各2人ずつだった。
前回投票時に票が真っ二つに分かれたPSDBは、懸念されたほど賛成票を落とさなかったが、1回目の投票の際に強い忠誠を見せた、エドゥアルド・クーニャ前下院議長(PMDB)の会派「セントロン」系の政党(進歩党・PP、PSD、PRB、ブラジル労働党・PTB、共和党・PR、ブラジル共和党・PRB)からの賛成票は149票から145票に落ちた。
ただ、告発を免れるには十分な票数だったとは言え、告発回避に賛成した票が下院全体の半数を超えなかったのは、連邦政府としては気がかりなところ。それは同時に、連邦政府が通したい法案があった場合に、必要となる票数に満たない可能性も意味するからで、憲法改正案の承認は、なおのこと困難になる。