ブラジル連邦検察庁による、ミシェル・テメル大統領に対する2度目の告発を阻止した政府は、社会保障制度改革(年金改革)を始めとする諸改革を進める意向だと、26日付伯字紙各紙が報じた。
25日夜、告発受け入れの是非を問う下院投票が終了する前に、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は、政府の狙う経済政策に関する議会工作交渉に入った。26日の朝、ジオゴ・オリヴェイラ企画相と告発阻止後の議会の優先順位について話し会う段取りをつけたのだ。
「蜜月状態」だったマイア議長との間に隙間風が吹き始めてから、大統領府は年金改革の審議の再開をマイア氏の手に委ねている。
政府にとっての最優先事項は、JBSショックで審議が5カ月も中断している年金改革だが、年金改革の採決を焦り、マイア氏の機嫌を損ねることを避け、年金改革と同時進行で経済活性化政策も進めようとしている。
政府は今月30日までに、来年度予算の税収を確保し、財政目標を達成するための法案や、滞納税回収計画(Refis)の適用申請期間延長に関する暫定令も出さなくてはならない。
また、1月のダボス会議までに課題に決着をつけ、具体的な数値をもってブラジル経済の立ち直りを国内外にアピールし、投資を呼び込むことも企図している。テメル大統領は、公共事業の民間委託への参加を呼び込むため、東南アジアや中東諸国の訪問も予定している。
政府の経済スタッフは既に、「経済活性化政策」の内、二つの議論を始めている。来年第1四半期に行う予定の「社会統合基金(PIS)/公務員財形計画(PASEP)の再度の引き出し解禁」と、「電力公社のエレトロブラス民営化」だ。
経済活性化政策には、旅客、貨物便の規制緩和も含まれる。これにより、航空部門観光部門への投資や航空運賃値下げが期待されている。
その他には、鉱山採掘に関する新法案や、エレトロブラス民営化に欠かせない、電力部門の法案も政府は緊急課題としている。鉱山採掘、電力部門法案の成立は、100億レアルを国庫にもたらすと試算されている。
テメル大統領は通信会社Oiの再建のため、法的に再建過程企業の罰金支払い期限延長を認める法案成立も狙っている。
農牧畜関連では、精肉企業の認定やブラジル産肉の品質保証に関する法案の改定も狙っている。これにより政府は、南米共同市場(メルコスール)と欧州連合(EU)の自由貿易協定を12月までに結ぶ事を意図している。
11月11日には、今年7月に議会を通過した改正労働法が施行されるため、100万人規模の雇用が創出されるだろうと試算している。