【既報関連】11月解禁予定とされてきた日系四世に対する在留制度の開始が、ここにきてずれ込む可能性が濃厚となってきた。朝日新聞19日付は、法務省が海外在住の日系四世向けに就労可能な「特定活動」の在留資格を与える制度を導入する方針を固めたと報じており、制度解禁は早くとも今年度内となりそうだ。
今月8日、訪日就労者情報援護センター(CIATE)が開催した「コラボラドーレス会議」で、厚生労働省の小林洋司審議官が、衆院選の影響による制度解禁時期の遅れや対象者に年齢などの各種制限が付けられることを示唆。それに続き、制度解禁の遅れが明らかとなった。
朝日新聞19日付けによれば、同在留制度の対象者は18から30歳までの日系四世。今年7月にサンパウロ市文協ビルで下地幹郎衆議院議員(日本維新の会、沖縄)が行った説明会では18歳以上が対象とされたが、年齢制限が設けられた格好だ。
また、下地衆議によれば、3年間は日語・日本文化習得のため労働と学習を義務付け、「3年間を終えた時点で全員に定住権を付与するか、勉学と労働に励み法律を犯さなかった人にのみ出すか検討中」とされていた。
しかし、在留期間は最長3年となり、1年ごとに更新が必要。在留資格の発給や更新には、日常会話や読み書き能力など一定の日語レベルが求められ、可能とされていた家族帯同についても不可とされた。
また、7月31日付けで読売新聞が報道した法務省案によれば年間受け入れ人数は1千人程度だったが、今報道では年間数千人規模の予定となった。
同省は、今後制度設計をサイトで公開し「パブリック・コメント」を実施。国民から集めた意見を踏まえた上で、今年度内の実施を目指す方針だ。
今回の報道について18、25日の両日、下地衆議にメールで問い合わせたが、26日時点で返答はない。下地衆議は19日、自身のTwitterアカウントで、記事の写真を掲載。「この制度整備によって日系社会との絆はより深まる。県内でも積極的に受け入れ、沖縄と母国の未来を担う人材育成を活発化させる。私が提案した法案が着実に前進していることを嬉しく思う」とコメントしている。