26日、最高裁でルイス・アルベルト・バローゾ判事が、ジウマール・メンデス判事の政治家らに対する裁きの見解などに食ってかかり、激しい口論となって、話題を呼んだ。27日付現地紙が報じている。
事の発端は、この日行われていた、セアラー州内の市会計検査局(TCM)廃止問題について審理している時だった。
メンデス判事は「以前は〃リオ市のTCMに倣え〃といわれ、全国のTCMのモデルとされていた(が、今のリオ市は汚職で財政破綻した)。私はこの件の報告官で、リオに金を送るのをやめさせた」と発言した。
すると、リオ出身のバローゾ判事がこの発言を不快に思い、「(メンデス判事の出身地の)マット・グロッソ州では、TCM関係者は皆(汚職で)逮捕されている。だが、リオでは、捕まえても誰かが釈放してしまう」と発言した。
これは、メンデス判事が4月にリオを代表する企業家のエイケ・バチスタ氏、8月にも企業家のジャコブ・バラッタ・フィーリョ氏とリオ州乗客輸送連盟元会長の3人に人身保護令を適用して釈放したことを皮肉ったものだ。
これに対し、メンデス判事は「あなただって(労働者党政権の元官房長官の)ジョゼ・ジルセウ氏を釈放したではないか」と反論した。それに対し、バローゾ判事は「嘘だ。あなたは普段、真実に基づいて仕事をしていない。釈放したのは最高裁だ」と語気を強めて反論した。
事実、今年5月に最高裁第2小法廷がジルセウ氏に人身保護令を適用させるか否かの審理を行った際、2対2になった後に、1票を投じて保護令を適用させたのはメンデス判事だった。
両判事はカルメン・ルシア長官が仲裁に入っても口論を続けた。
バローゾ判事が「ホワイト・カラーの人への判断が随分甘いんですな」と攻撃すると、メンデス判事は「ポピュリズムに陥り、世間に迎合して政治家を誰でも彼でも逮捕すればよいというものではない」と反論。カルメン長官は再び、「最高裁は審理の場所であり、大衆主義で動いてはいない」と仲裁した。
メンデス判事はまた、「私は国際的テロリストの弁護などしたことがない」と語り、バローゾ判事が最高裁判事になる前に、70年代にイタリアでテロを起こし、ブラジルに亡命中の政治犯チェザーレ・バティスティ氏を弁護した事実も皮肉った。
メンデス判事が民主社会党(PSDB)の支持者でテメル大統領とも仲が良く、労働者党(PT)に厳しい傾向がある一方、バローゾ判事がPT寄りであることは世間一般にも知られている。
また、メンデス判事は連邦検察庁の態度や捜査は過剰だと批判しているが、バローゾ判事は司法取引も含めた捜査のあり方を擁護している。