ロドリゴ・ジャノー前連邦検察庁長官が、退任直前の8月に、検察官や捜査官が、裁判所の許可なく、公的な立場の人物や民間人の犯罪行為に関する情報や書類を集めたり、捜査したりすることを認める条項を書き加えていたことが判明し、司法界で問題となっている。30日付エスタード紙が報じている。
ジャノー前長官は全国検察審議会(CNMP)議長と検察庁特捜班の長を兼任していたが、9月17日に同職を退任し、その座をラケル・ドッジ現長官に譲った。今回発覚した条項は、退任1カ月前の8月7日に公示された「解決策181号」に関するものだ。
同策については、ブラジル司法官協会(AMB)やブラジル弁護士会(OAB)が最高裁に、違憲性の有無を問う動きを起こしている。連邦警察警部協会(ADPF)も、アミカス・キュリエ(個別事件の法律問題に関して裁判所に譲歩や意見を提出する第三者、法定助言人)が出した審理要請に同調する意向だ。
AMBによると、問題とされているのは、解決策181号第7条の第1段落に書かれた文言などだ。そこには「どのような公的機関や司法担当者も検察に反することは出来ない」とあり、「検察は裁判所の法的な許可を取らなくても、あらゆる種類の守秘義務を反古にし、独自の捜査が可能だととれるものになっている」という。
刑法弁護士のルイス・エンリケ・マシャド氏もその見解で、「これではCNMPに捜査や審理、判決で絶対的な権力を与えてしまう」と懸念を示している。また、ブラジル刑法弁護士協会のエリアス・マタール氏も、「三権分立とは司法・行政・立法であり、検察というものはないのだが」と違和感を隠せない。
こうした不満はドッジ長官にも届いており、検討がはじまっている。
全国連邦捜査官協会(ANPR)はこれらの不満に対し、「これを見直して取り下げてしまうと、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)のような捜査には打撃になってしまう」と強い懸念を示し、解決策181号を肯定した。だが、「部分的な修正が必要なら応じる」という姿勢を見せている。
ジャノー長官はLJで数多くの政界腐敗を暴いたことで、国民の強い信頼を得、それを背景にさらに捜査を進めていた。
だが、5月17日のJBSショックの際に、テメル大統領やアエシオ・ネーヴェス上議を現行犯として捜査しようとするあまり、JBS社社主のジョエズレイ・バチスタ氏の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)に、収賄規模に見合わない異例ともいえる恩赦を与えたことや、ジョエズレイ氏らとの司法取引締結にあたり、まだ検察庁に在任していたマルセロ・ミレール検察官が同社主らとの司法取引に関与していたことを知っていた疑惑などが生じ、退任前に評判を落としてもいた。