在サンパウロ台北経済文化弁事処(王啓文代表)主催による『中華民国建国106周年記念式典』が、先月5日、サンパウロ市内客家会館で開催され、台湾系社会の代表者ら100人以上が参加し、盛大に節目を祝った。
1912年に中国大陸で成立し、第二次大戦後の国共内戦の後、台湾島と周辺島嶼を実効支配する国家となった台湾。
王代表によれば、ブラジル移民は60年代に始まり、およそ一万人の台湾系人がサンパウロ市近辺に集住しているという。同管内にはおよそ40の文化団体が存在し、なかでもサンパウロ市内の聖儒華文学校(林志孟校長)は500人規模の生徒を抱え、言語文化普及の中心拠点となっているようだ。
式典で台伯両国家斉唱の後、挨拶に立った王代表は「建国時の理想は、十分に実現されたのではないか。自由と民主主義を基調とし、台湾は安定的に経済成長を遂げてきた」と同国の軌跡を振返り、「経済文化的観点から台伯関係を更に強化していきたい」と述べた。
出席した野村アウレリオサンパウロ市議らが祝辞を述べた後、乾杯へ移り、懇親の場となった。出席者のなかには、国際民族舞踊祭を通して交友関係を温めてきた文協の呉屋春美会長をはじめ日系団体代表者らの姿もあった。
晩餐会の間、舞台では若手による伝統舞踊や音楽演奏も。また、今式典のため台湾から取り寄せたという台湾中南部伝統の道教神の誕生祭で使われる少年神を模した「電音三太子」の着ぐるみ3体が音楽に合わせて会場を練り歩き、大盛況となった。
参加したアンドレア・シュンさん(58、一世)は「今はブラジルが大好き。問題だらけだけどね」と微笑んだ。両親に連れられ、12歳でブラジルに移住したアンドレアさんだが、「慣れるまでにはすごい時間がかかったけど」と様々な葛藤を振返り、移住から26年後に帰化したという。
「ここでは台湾にいるよりもずっと多くのアジアの国々を知ることが出来る。そのなかで台湾系として他の国々との違いを認識した」といい、「台湾を忘れることなんて出来ない。多民族が共存するブラジルだからこそ、ルーツを大切にしなければ」として台湾系ブラジル人として誇らしげに語った。