リオ州元知事のセルジオ・カブラル被告を南マット・グロッソ州の連邦刑務所に移送させるという、リオ連邦地裁のマルセロ・ブレッタス判事の命令を、連邦最高裁のジウマール・メンデス判事が10月31日に覆した。メンデス判事は過去にも2度ブレッタス判事の命令を覆し、ホワイトカラーの容疑者の便宜を図ったと問題になっていた。1日付現地紙が報じている。
ことの発端は10月23日、カブラル被告がリオ地裁においてブレッタス判事と論争になり、その際に「私が(賄賂を使って)宝石を購入したという情報は、あなたの親戚が宝石屋だから手に入れたものだろう」という発言を行ったことだ。
ブレッタス判事は、これを同判事への威嚇行為と見做す検察の見解を支持し、カブラル被告を連邦刑務所に隔離するよう命令を下した。この命令は、連邦第2地域裁(TRF2)にも受け入れられ、南マット・グロッソ州の刑務所に移送することが決まっていた。
だが、カブラル被告の弁護人が最高裁に訴えたため、同件担当となったメンデス判事がその言い分を受け入れ、カブラル被告の移送を差し止める命令を下した。
メンデス判事によると、「既に報道もされていることを口にすることは威嚇行為には当たらない」として、移送の有効性を認めなかった。
カブラル被告の弁護人が最高裁に送った資料には、9月にエスタード紙が報じていた「ブレッタス判事の父親は宝石商を営んでいる」との記事も含まれていた。
メンデス判事はさらに「逮捕されている人でも外界との接触や情報を得る権利はある」として、隔離された刑務所への移送を差し止めた。
もっとも、ブレッタス判事の判決をメンデス判事が覆したのはこれがはじめてではない。
今年の4月には、ラヴァ・ジャット作戦の一環のエフィシエンシア作戦で逮捕されていたリオの元富豪、エイケ・バチスタ被告に対して人身保護令を出して釈放した。
続いて8月には、「リオのバス王」との異名を取るジャコブ・バラッタ・フィーリョ氏に対しても人身保護令を適用した。この時はブレッタス判事が1度適用を差し止めたが、それをメンデス判事が再度覆したことで話題を呼んだ。
この際は、メンデス判事とバラッタ氏の一族の間に間接的な婚姻関係があったことから、メンデス判事の判断の不当性が叫ばれ、激しい抗議運動も行われた。
メンデス判事はこれ以外にも、自身が長官をつとめる選挙高等裁判所で14年の大統領選でのジウマ/テメル・シャッパの不正疑惑に関して、テメル氏に有利な判決を引き出したとも批判され、最高裁内部でも「ホワイトカラーに甘い」との批判もあがっている。