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各々異なる結実の時

 テレビの番組を流しながら家事をやっていて、ジャブチカバの農園で幹全体が真っ白な花に覆われた様子を写した画像を見た。思わず息を呑んだ後、ジャブチカバが実を結ぶまでには7~8年かかるとの説明もあった▼これを聞いて思い出したのは、「桃栗三年柿八年」という諺だ。野菜や果物の結実には時間がかかる事や忍耐の必要などを教えてくれる諺だが、種を蒔いてすぐ実がなるものは少ない。1年に2~3回収穫が出来る作物であっても、畑を耕し、種を蒔くだけでは、芽が出ても枯れてしまうし、収穫後の管理が悪くてだめにする事だってある▼こうやって考えると、何事も、一朝一夕ではならない事が良くわかる。試験前の一夜漬けも、それ以前の積み重ねがなければ、効果のほどは知れているはずだ。また、思うように実がならない時、腐ってしまうか、種や苗を掘り出して投げ捨てるか、追肥などをしてもう1年待つかで、その人の人間性も問われる▼先の諺は、成就するまでそれ相応の年月がかかる事を示す一方、勤勉に働けば3年、少し努力した人は8年、普通の人は9年で一人前になるが、努力しない人は18年かかるという意味もあるという。地道な努力と実を結ぶまで待つ忍耐は相反しないし、どちらも大切だ。結実を見たいなら、時々に必要な日照や栄養も与えなければならない▼「三つ子の魂百まで」という諺や、人の骨密度は20歳位までしか伸びず、後は低下の一途をたどるという話は、若い頃の体験や指導、栄養の大切さを示す。他人が植えた木に実がならぬ時、修正するのは大変だが、だめだと思われていた木が実を結んだ時の楽しみや誇らしさは格別だろう。(み)