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サントス強制立退きや沖縄戦=同人誌『群星』第3号発刊=11日に合評会を開催

(左から)来社した高安宏治さん、宮城塾長、峰井由規さん

(左から)来社した高安宏治さん、宮城塾長、峰井由規さん

 「移民自身による手作りの移民史」を標榜する日ポ両語の同人誌『群星(むりぶし)』の第3号が先月10日に刊行された。ブラジル沖縄県人移民研究塾(宮城あきら塾長)が1千部を発行。11日午後2時からは同本部で同誌の合評会が開催される。

 『群星』は15年から年に一度発行する。創刊号の巻頭で「戦前・戦後の埋もれた歴史を発掘して、より多くの人々が歴史の舞台に登場する県人移民史、とりわけ戦後移民史を立体的に再構築していく」との基本方針を説明している。

 本号では昨年沖縄で開催された「第6回世界のウチナーンチュ大会」と10月30日に制定された「世界ウチナーンチュの日」を特集。沖縄県人会の島袋栄喜会長へのインタビュー、ポ語月刊新聞「ウチナープレス」の知念城間バネッサ社長ら大会参加者5人の寄稿文などが掲載されている。

 知念社長は沖縄に着くと「お帰りなさい」と歓迎され、「ブラジルに生まれていながら自分の《故郷》帰るような、言葉では言い表せない気持ちを体験する機会を与えてもらった」と振り返る。

 「歴史の発見」の章では、1943年に強制立ち退きを命じられたサントス在住日本人の名簿を公開。名簿は、昨年の8月に映画監督の松林要樹さんがサントス日本人会館で偶然発見したもの。585人の姓名、住所、行き先が記されている。

 敵性国民として24時間以内の強制退去令が出たことに関し、同誌は「ブラジルの歴史上かつてない『人種差別』の大事件ながら、日系社会においても重要視されることさえなく70年以上も歴史の闇に放置されている」とし、歴史的研究・究明を呼びかけている。

 立ち退き体験者4人の証言も掲載。そのうちの一人、当山正雄さん(96)は「日本が戦争に負けた後の1947年にサントスに戻ってみると、自分たちの家屋敷には、他人のブラジル人が住みついており、全ての物がなくなっていた。(中略)悔し涙を流しておりました」と述懐している。

 「移民群像」の章では「沖縄戦と移民」をテーマに戦争や学童疎開、ボリビア移住などを扱う。他にも昨年就任したサンパウロ日伯援護協会の与儀昭雄会長へのインタビュー、西銘光男さんの沖縄県人会活動についての「提言」などを収録。

 希望者は沖縄県人会本部(Rua Tomas de Lima, 72)や本紙編集部(Rua da Gloria 332, Liberdade)で無料配布中。

 刊行に併せて合評会が11日午後2時から同本部で開催される。宮城塾長は「ブラジルに生まれた二、三世の皆さんと移民歴史を研究したいという思いから両語にしています。この同人誌を読んで、先人たちが学んだことを引き継ぎ、今までとは違う新しい日系社会を作る礎にして欲しい。そんな期待をこめています」と話した。

 問い合わせは沖縄県人会本部(11・3106・8823)または、宮城さん(11・4472・4532)まで。

 

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 『群星』第3号は198頁に渡って、沖縄移民の歴史を顧み、日系社会の新たな扉を開こうとする意義深い内容。毎号無料で配布をしているが、第2号発刊後に「こんな立派なものを只で読むわけにはいかない」という読者から、9210レと2万円の寄付が集まったとか。宮城あきら塾長は「この発刊体制を支えているのが自主的支援によるカンパ。心から感謝します」と話した。これからも長く書き綴られ、「ウチナーンチュの心」が後世に語り継がれていくことを願うばかりだ。