来年10月に控えた大統領選は、既に多くの報道もなされ、過熱気味だが、その分、これまでになく多数の候補者が乱立する見込みで、展開が見えにくくなっている。5日付フォーリャ紙などが報じている。
来年の大統領選は、不人気のテメル現政権の次の政権を選ぶもので、早くもメディアや国民の中で関心を集めている。
そうしたことも手伝って、現在世論調査で1、2位のルーラ氏(労働者党・PT)やジャイール・ボルソナロ氏(愛国党に移籍予定)は既に出馬の意向を表明済みで、インターネットでもビデオなどを流している。
4日付エスタード紙によると、選挙高等裁もこれらの動きを把握しており、「選挙に向けたネットなどでのキャンペーンを前倒しで行っている」との苦情に対する審理を行うための手続きを、既に始めている。
今回の大統領選では、民政復帰後初の大統領選となった1989年以来の大混戦が予想されている。
その一因となっているのは、選挙放送の持ち時間だ。現在、世論調査で2位のボルソナロ氏と3位のマリーナ・シウヴァ氏(レデ)は所属政党が小さいため、週3日、午後と夜の2回ずつ放送される12分30秒の政見放送では、現状の持ち時間がそれぞれ10秒と12・8秒しかない。
ブラジルでは1998年以降、政見放送の持ち時間1、2位の候補者が得票率1、2位を独占している。現状だと、1位はルーラ氏(または他の労働者党候補)の1分35秒7、2位はジェラウド・アウキミン氏かジョアン・ドリア氏と見られる民主社会党(PSDB)候補の1分18秒5だ。
ただ、今回の選挙は例年のような大型政党の連立が行われる可能性が低い。それが特に目立つのが中道右派系で、エンリケ・メイレレス財相の出馬が有力視される社会民主党(PSD)や二つの新政党の候補(ポデモスのアルヴァロ・ジアス氏とノヴォのジョアン・アモエド氏)、さらに政党未定ながらタレントのルシアノ・フッキ氏の名前が連なる。これまでPSDBと組んできた民主党(DEM)も独自候補を立てる予定だ。
また、左派でも民主労働党(PDT)からは98、02年の大統領選で3位だったシロ・ゴメス氏の久々の出馬が予想され、これまでPTと一枚岩だったブラジル共産党(PCdoB)がマヌエラ・ダヴィラ氏擁立の意向を表明している。
また、政見放送の持ち時間が大きいテメル大統領の民主運動党(PMDB、1分25秒5)や、セントロン系の進歩党(PP、50秒)、ブラジル社会党(PSB、44秒8)、共和党(PP、44秒8)、ブラジル労働党(PTB、33秒)、ブラジル共和党(PRB、27秒)が独自候補を出すのか、どこかと連帯するのか、なども気になるところだ。