昨年9月に議員罷免処分を受け、同10月からはラヴァ・ジャット作戦で逮捕されている前下院議長のエドゥアルド・クーニャ被告(民主運動党・PMDB)が6日、ブラジリアの裁判所で被告尋問に応じ、PMDBの元オペレーターで報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)で爆弾発言を行っているルシオ・フナロ容疑者を批判し、テメル大統領をかばった。7日付現地紙が報じている。
今回、クーニャ被告がブラジリアの連邦裁判所の第10刑事法廷で行った証言は、連邦貯蓄銀行(CAIXA)を巡る不正に関するものだ。CAIXAでは、民間企業への勤続年数保障基金(FGTS)貸付で便宜を図り、口利き料として賄賂を受け取るという形の不正が行われており、クーニャ被告は同銀行元副総裁のファビオ・クレト被告、フナロ氏、元下院議長で観光相も務めたエンリケ・エドゥアルド・アウヴェス被告らと共に起訴されている。
クーニャ被告は証言台で検察庁からの告発内容を全て否定し、フナロ氏から提出された賄賂分配表なども「でっちあげだ」とした。
同6日、フナロ被告はブラジリア地裁に、クーニャ氏が自筆で、スイスのジュリウス・バエル銀行にあるクレト被告の秘密口座に賄賂を振り込むように指示したと思われるメモも提出した。
クレト被告はスイスの銀行を使って不正な金を受け取ったことを認めたが、クーニャ被告は不正への関与を否定した。
クーニャ被告は、現在逮捕中のJBS社主ジョエズレイ・バチスタ被告が録音したテメル大統領との会話の中で、大統領がバチスタ被告に命じ、クーニャ被告やフナロ被告が報奨付付供述に応じないよう、口止め料を毎月支払わせていたと思われている件についても、「そんなのはでっちあげだ。現にジョエズレイ氏はその嘘のつけを払っているではないか」と反論。自身のデラソンの内容が崩れ、逮捕されたジョエズレイ氏を皮肉った。
口止め料の件などが言及され、5月にJBSショックを引き起こした、ジャブルー宮でのジョエズレイ被告とテメル大統領の会談の録音に関しても、「あれは、テメル氏を大統領の座から引きずりおろそうとした検察庁が(ジョエズレイを使って)仕組んだ罠だ」として検察庁を強く批判した。
クーニャ被告はこの他にも、「(元下院議長で同じく逮捕中の)エンリケ・アウヴェス氏や(テメル大統領元側近で、巨額収賄などで現在は自宅軟禁中の)ジェデル・ヴィエイラ・リマ氏にフナロ氏を紹介はしたが、彼らの不正については知らない」「フナロ氏から元サッカー選手のアパートを譲り受けたという事実はない」とフナロ被告の証言を否定し続けた。
クーニャ被告も報奨付供述を行おうとし、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事にテメル大統領への質問状を提出したこともあったが、司法取引は不成立となり、戦術が変わったようだ。