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《ブラジル》テメル大統領=年金改革達成に弱気の虫?=早くも予防線を張る発言=「改革ならねば増税」と財相

下院の与党各党リーダーたちと会合するテメル大統領(中央)(Alan Santos/PR)

下院の与党各党リーダーたちと会合するテメル大統領(中央)(Alan Santos/PR)

 【既報関連】ミシェル・テメル大統領(民主運動・PMDB)は6日、政権最大の課題として取り組んできた、年金改革を含む社会保障制度改革(以下、「年金改革」)が、達成できずに終わる可能性を公の場で初めて認めたと、7日付現地紙各紙が報じた。
 テメル大統領は、6日に開いた下院の連立与党各党リーダーたちとの会合で、「年金改革は、私が固執している案件ではない。連立政権全体の課題だ。ただ仮に、社会もマスコミもそれを望まず、その声を反映した議員たちが望まなかったら、諦めるしかない」とし、さらに、「年金改革を阻止することで、政府を倒せると考える勢力がある。しかし、はっきりさせておく。仮に年金改革の成立を阻止しても、政府を打倒したことにはならない」と語った。
 年金改革案には憲法改正が含まれており、下院でも上院でも、議員定数の6割以上の賛成が2回必要だ。
 同大統領は、先週末に与党関係者たちと会合を行った際、年金改革に必要な、下院定数の6割以上である308票の賛成票を確保することは難しいと認識するに至った。
 ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は、政府に対し、年金改革の採決を行うには、改革の内容を見直し、与党内の再調整を行うことが必要だとし、「年内の会期がまだ4週間あるから、採決に持ち込むことは不可能ではない」と語っている。
 「原案全てが成立しなかったとしても、進展ゼロとは限らない」とも語るテメル大統領は、年金改革を少しでも進めることが重要だと考えている。側近筋はこの発言を、年金改革失敗のせいで、最近の景気回復のような、自身の手柄の評価まで落とすことは避けたいテメル大統領の意思の表れだと見ている。
 テメル大統領は連立与党のリーダーたちに、どの程度まで妥協すれば年金改革に賛成できるか、各党内で、そのラインを探って欲しいと要請したが、それも望み薄だ。
 政府内には諦めムードも漂い始めたが、経済政策班は年金改革の重要性を叫び、議会を説得するための努力を続けている。その代表格であるエンリケ・メイレレス財相は、「年金改革が達成できなければ、増税もやむなし」と語っている。
 政府下院副リーダー、ベット・マンスール下議(共和党・PRB)は、「可決に必要な308票に届かないなら、通常の法案でできる範囲の改革にとどめて、過半数での承認を目指す道もある」としている。