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《ブラジル》電気代が産業の回復を阻害=旱魃が生産コスト削減の壁に

 【既報関連】今年のブラジルの少雨・旱魃は記録的で、北東部や中西部、南東部の水力発電所は軒並み、ダム貯水量が減り、発電コストがより高い火力発電所の稼動を余儀なくされている。

 4日付現地紙によると、少雨・旱魃に伴う貯水ダムの水位低下は、バイア州ソブラジーニョの2・66%、ゴイアス州セーラ・ダ・メーザの6・08%、ミナス州トレース・マリアスの7・84%など、例年以上に深刻だ。

 これを受け、11月からは、通常の電気代にプラスして、100キロワット/時毎に5レアルを課す「赤旗2」が適用されているが、小中企業では電気代が生産コストを高め、業績回復を遅らせうるという。

 最近は景気回復を示す指数が繰り返し報じられており、来年度の国内総生産(GDP)の成長予想も、年2・5%から3%に上方修正された。

 だが、政府関係者がGDPの伸びが3%程度なら電力不足は起こらないと保障する一方、電気代値上がりで、産業界は政府が予想するような回復を遂げられない可能性が出てくるのだ。

 電気代値上がりの影響が大きいのは、必要な電力を長期契約で確保している大企業ではなく、一般消費者同様に配電会社からの供給を当てにする中小企業だ。中小企業の消費電力は、全国の1日の消費量(6万2千メガワット)の15%に相当する。

 1~9月のインフレ率は1・78%だが、電気代は5・8%上がった。昨年はインフレ率6・29%に対し、電気代は10・66%値下がりしたが、それでも、インフレ率10・67%に対し、電気代が51%上がった時期の歪みは修正されていない。

 電気代はインフレ率そのものも押し上げるが、生産コストが上がれば、商品価格も上がり、インフレが更に高まる。生産コストや商品価格の上昇は、産業界の国際的な競争力もそぐから、電気代上昇は、家計消費や貿易などの面からもGDPの成長を妨げうるのだ。

 火力発電所稼動で必要な電力は確保できても、発電コストや生産コストは高まる一方という状況下、国家電力庁が7日から、一般家庭も含む節電キャンペーンを開始したと同日付アジェンシア・ブラジルが報じている。

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