テメル大統領(民主運動党・PMDB)は8日に、連邦警察の次期警視総監としてフェルナンド・セゴーヴィア氏(48)を指名した。警視総監交代はエリゼウ・パジーリャ官房長官たっての希望で、ジョゼ・サルネイ元大統領らが後押ししたとされ、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)で容疑をかけられたPMDBの要人の根回しで実現したものとの憶測が飛びかっていると、9日付現地紙が報じている。
セゴーヴィア氏は1995年に連邦警察に入った。武器防衛機構の会長などをつとめ、銃の規制や大量殺人、先住民をはじめとした人権問題などを専門とした後、2008年にマラニョン州の連警指揮官に就任。11年からはブラジリアの連警本部の管理部門で勤務していた。南アフリカの警察に2年勤務した経験もあるなど、国際経験面で評価する声もある。
テメル大統領はこのセゴーヴィア氏を、ジウマ政権開始時から、6年10カ月間にわたって連警トップをつとめてきたレアンドロ・ダイエロ氏の後任に指名した。
だが、この指名が、連邦政府内や連邦警察の中で問題視されている。それはこの人選が、PMDBの大物たちの間で一方的に行われたという憶測が強いためだ。
ダイエロ警視総監交替への動きが顕著になったのは、9月5日に行われたLJの「テゾウロ・ペルジード作戦」だった。同作戦では、テメル大統領の元側近で、同政権閣僚でもあったジェデル・ヴィエイラ・リマ被告が借りていたバイア州のアパートから5100万レアルの現金が発見され、大きな話題となった。
これによって、連警の捜査はどこまで行くのかとの懸念を強めたパジーリャ氏は、それまで以上に強力に警視総監交代を働きかけはじめた。
それを支援したのが、PMDB上院部門の重鎮で、元大統領のサルネイ氏だ。サルネイ氏はマラニョン州に強い影響力を持つ巨大な政治家一族の長で、セゴーヴィア氏とは同氏が同州の連警指揮官だった時からの旧知の仲だ。8日付G1サイトによれば、サルネイ氏は9月17日以降、テメル大統領と共に、セゴーヴィア氏を警視総監に指名するためのロビー活動を行っていたという。サルネイ氏は4日も大統領官邸を訪ねており、上院政府リーダーのロメロ・ジュカー氏(PMDB)も招いて、警視総監交代について協議したとされている。
連邦警察の警視総監指名は通常、法相に強い権限があるが、トルクアット・ジャルジン法相は「今回の件では自分は何もしていない」と語っている。同法相は2カ月前にダイエロ氏を説得して総監留任を納得させたばかりで、後任にも連警ナンバー2のロジェリオ・ガローロ氏を強く推していたが、リオ州政府は警察を統率できておらず、同州警察と犯罪組織は密着しているなどと語り、発言力を失っていた。
なお、ガローロ氏は3週間前、北京で開かれた国際警察の会合でアメリカ地区指揮官に選ばれている。