サンパウロ州議会は、サンタ・クルス病院の石川ヘナト理事長に対し、その医療分野における発展に対する貢献を称えて、先月23日、同議会内ジュセリーノ・クビシェッキ本会議場にて、名誉功労章を授与した。
15年11月制定され、サンパウロ州における社会、経済、文化的発展に対して著しく貢献した人物に対し与えられる同勲章。西本エリオサンパウロ州議の推薦により、石川氏は初の受章者となった。
式典には、西本州議、野口泰在聖総領事、松尾治文協副会長、ルイ・デ・オリベイラ・ペレイラ第一評議委員長のほか、日系団体代表者ら200人近くが出席。石川理事長の略歴や、関係者から祝福のビデオメッセージが紹介された後、西本州議から名誉功労章が授章されると、拍手喝采となった。
挨拶に立った石川理事長は「記憶に強く印象付けられているのは、イビウナでの暮らし。家から7キロ離れた学校に通い、その時初めて靴を履いた。母は強い意思の持ち主。6人の子供の教育のため、出聖する決断を下したのだった」と滔々と半生を語り始めた。
石川氏は、ブラジルNECで98年からは4年間代表取締役社長を務めた経営手腕が買われ、同病院再建のため12年に理事長に抜擢。石川氏の下、経営改革によって財政再建を進め、顕著な実績を上げてきた。
同病院の救急部門ではトヨタ生産方式(TPS)を導入や5S運動などにより、業務改善を前進。リオ五輪では、邦人観光客のため24時間無料フリーダイヤル設置や、日語対応可能な医師団を派遣した。
また、筑波大学との協力協定締結のほか、医療分野における国際セミナーを開催し、人材交流や技術交換などを通じて、更なる医療技術の発展も後押ししてきた。
最後に「受章されたことは非常に名誉なことで、その責任を重く受け止めている。同病院が社会的にさらに貢献していけるよう、辛抱強く働いてゆくための動機づけとなった」と背筋を正した。