9日、民主社会党(PSDB)内で、5月の汚職騒動以来、党首を停職中のアエシオ・ネーヴェス氏が、同氏に辞職を迫ったりもしたタッソ・ジェレイサッチ党首代行を解任する事態が発生した。12月の次期党首選を前に、連立与党継続派と離脱希望派の抗争が激化してきたのを反映した出来事だが、アエシオ氏の道義上の問題も影を落とした。10日付現地紙が報じている。
9日、アエシオ氏は上院内のタッソ氏の事務所に出向き、8日に党首選出馬を表明したばかりのタッソ氏に党首代行を辞任するよう求めたが、同氏がそれを拒み、激しい口論となった。アエシオ氏がタッソ氏の解任を発表したのは、それから間もなくのことだった。
解任の表向きの理由は、タッソ氏が党首代行の立場を利用し、党の意見を省みず、自身の宣伝行為を行っていたためだという。
だが、この背後には、アエシオ氏を頭とする連立与党支持派と、タッソ氏を頭とする連立離脱派の抗争がある。
12月9日の同党党大会では、次期党首を選出する選挙が行われることになっており、タッソ氏は8日にこれに出馬する意向を宣言していた。
だが、アエシオ氏や同党所属の4人の閣僚は、タッソ氏より先に出馬を表明していたゴイアス州知事のマルコ・ペリーロ氏を推しており、同氏を当選させることで、連立維持を目指していた。
アエシオ氏や連邦政府の閣僚たちは、「社会保障改革を行わずに連立離脱はできない」として、タッソ派の行動を強くけん制していた。
この解任によって、PSDBの党首代行は、同党副党首の中でも最長老のパウロ・アルベルト・ゴールドマン氏がつとめることになる。
だが、今回のアエシオ氏の行動を、タッソ派側は「連邦政府も関与したゴウピ(クーデター)」と強く批判し、党内のアエシオ派、ならびにテメル政権との間の溝を深くしてしまった。
タッソ氏は、「こんなことを行える連中は私の知っているPSDBではない」と失望を隠せずにいる。また、同氏が次期大統領選候補に推しているジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事も「私には何も相談がなかった。知っていたら絶対反対した」と不快感を示した。
今回のアエシオ氏の行為に関しては、同党のアロイージオ・ヌーネス外相のように「法的に問題はない」と擁護する勢力もある。
アエシオ氏は、JBSショックで浮上した収賄疑惑で党首停職となり、上議職も2度停職となった。10月に起きた最高裁の法解釈の変更と上院投票でやっと上議停職を正式に免れたが、同氏に対する国民の印象は相当悪くなっていた。今回は党首復帰を突然宣言した上、党長老や党幹部への打診もせずに党首代行を解任しており、世論の反発は避けられない。
連立与党支持派と連立離脱派の対立を増す行為で、同党の今後を案ずる声が出ている。