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《ブラジル》配電会社の民営化計画を発表=各社の品質向上に期待と識者=国際資本参入の可能性も

フェルナンド・コエーリョ鉱山動力相(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

フェルナンド・コエーリョ鉱山動力相(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 【既報関連】ブラジルの電力公社、エレトロブラス社所有の配電会社6社の民営化計画が、8日に開かれた官民合同プログラム(PPI)審議会で承認され、9日付官報に掲載されたと10日付現地紙が報じた。
 来年の3月末か4月はじめに競売されるのは、エレトロアクレ(アクレ州担当、以下、州名のみ)、アマゾナス・エネルジア(アマゾナス州)、セロン(ロンドニア州)、セピザ(ピアウィ州)、ボア・ビスタ(ロライマ州)、セアル(アラゴアス州)の6社だ。この6社はここ数年、エレトロブラス社にとっての不採算部門で、2016年の赤字額の合計は前年比28・3%増の66億レアルに上る。
 国家電力庁(Aneel)が今年の8~11月に改定した電気代に対して、いかに安く供給できるかを入札参加の各社は競るが、落札時に支払う金額は5万レアルと、極めて小額に抑えられている。それは、6社は総額208億レアルの負債を抱えており、その内の110億レアルはエレトロブラス社が負担するも、残りは落札企業の負担となるからだ。
 各落札企業はまた、落札時に即座に6社合計で24億レアルの資本注入を行わねばならず、操業開始から5年以内に54億レアルの投資を行うことも求められる。
 競売対象の6社は、ブラジル国内でも、電力供給の質が最も低い部類に入る。専門家たちは、サービスの質が低いのは、数十年間に及ぶ貧弱な設備投資と政治的な介入のために、機能的な経営が出来ていないからだと見ている。
 アマゾナス・エネルジア、セピザ、セロン、セアルの4社中、40万人以上の消費者に電力を供給している配電会社、全32社の品質ランキングで平均を上回ったのはアマゾナス・エネルジアの9位だけで、残る3社は23、28、29位の評価だ。
 エレトロアクレとボア・ビスタ社は、供給者数40万人以下のランキングで30社中、27位と29位だ。
 電力供給の質の向上が見込まれることも、政府が民営化を進める根拠の一つだ。リオ連邦大学電力部門研究グループのニヴァルデ・デ・カストロ教授も「民営化には電力供給の知識や能力を備えた企業が参入するから、各社の品質向上のために重要だ」と述べている。
 専門家たちは、2000年の民営化後に大きく品質を上げたセマル(マラニョン州)の例を強調している。同社は民営化の4年後から品質ランキングの上位常連で、2年前からはトップだ。
 市場では、今回の6社の民営化では、セマル社のサービスを改善させたブラジルのエクアトリアル・エネルジア社や、イタリアのEnel、中国の国家電網公司などが応札するのではと見ている。