ブラジル長崎県人会(川添博会長)は創立55周年式典と平和盆踊りを12日、北海道協会で開催した。「平和盆踊り」は初開催。母県の中村法道知事、長崎県の田上富久市長からもメッセージが届いた。県人会に縁のある約450人が集まり、平和を祈ると共に盆踊りを楽しんだ。
式典は午前10時、栗崎邦彦委員長の開会の辞で幕を開けた。冒頭の挨拶で川添会長は関係者や団体、会員に謝意を示し、先人の労苦を偲んだ。核兵器廃絶国際キャンペーンがノーベル平和賞を受賞したことを「人類存続への大きな一歩」とし、「広島県人会、被爆者平和協会など、関係諸団体と共に進んでいく」と話した。
中村県知事の祝辞、ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長による平和メッセージ、田上市長による「長崎市長平和宣言」がスクリーンに映し出された。この「平和宣言」は毎年長崎原爆の日の平和祈念式典で、市長が読み上げるメッセージだ。
田上市長は映像の中で被爆地に訪れるよう呼びかけ、「原爆が人間の尊厳をどれほど残酷に踏みにじったのか、あなたの目で見て、耳で聴いて、心で感じてください。もし自分の家族がそこにいたらと考えてみてください」などと8分以上に渡って来場者はじっと聞き入った。
来賓の野口総領事、飯星ヴァルテル下議や長崎市と姉妹都市のサントス市市長代理の中井貞夫同市議会議員、援協の与儀昭雄会長が祝辞をのべた。
長崎への留学・研修生による母県への謝辞や、スザノ日伯学園生徒による原爆写真展感想文の朗読も行なわれ、サンパウロ州立ナガサキ小学校生徒の「長崎の鐘」のコーラスが華を添えた。最後に、母県からの県人会と日系3団体へ寄付が贈呈と、高齢者へ記念品贈呈が行なわれ、式典は閉会した。
続く祝賀会では55周年を祝った祝賀アトラクションとして婦人部の皿踊り、龍(じゃ)踊り、よさこいなどを披露。戦争の悲惨さを訴えた紙芝居がポ語で行なわれた。目玉は「平和盆踊り」。中央にやぐらが建てられ、浴衣姿やはっぴを羽織った来場者が踊りを楽しんだ。
川添会長は「平和について考える機会の必要性を感じた」と開催目的を説明し、「ブラジルは戦争も原爆も体験していない。特に若い人たちに平和の大切さを理解して欲しかった」と話す。
今後については「県文化発信と平和活動の2つを軸にしていく。被爆県の県人会として平和について訴え続ける。今回のような平和に焦点を当てた県人会イベントは異色だと思うが、来年以降も続けたい」と展望した。