今年のブラジルのサッカー全国選手権は、コリンチャンスが3節を残して2年ぶり7回目の優勝を飾ったが、今年の最優秀選手の有力候補はコリンチャンスのセンター・フォワードで得点王争いも演じているジョーだ。
ジョーは、サッカーファンには3年前の地元開催W杯で全く活躍できなかった選手として認識されている。ほとんど出番もないまま無得点に終わり、ブラジル・サッカー攻撃力低下の象徴のように批判された。加えて準決勝のドイツ戦での7―1の惨敗だ。国民には「あのときの代表選手」というネガティヴな印象が残っている。
W杯直後、ジョーは所属のアトレチコ・ミネイロで、規律違反行為を繰り返し、チームから除外されてしまった。
ジョーはその後、15年にアラブ首長国連邦のアル・シャバブ、16年には中国の江蘇蘇寧に移籍。そこでも、特に目立った活躍もなく、プロ選手としてのキャリアをこのまま棒に振るかと思われた。
2016年11月、ジョーはコリンチャンスに移籍したが、シーズンも終盤で選手としての登録は2017年初めからとなった。
年が明けた2017年、コリンチャンスの下馬評は、「サンパウロ州で4番目」と言われるほど低く、ジョーへの期待も高くはなかった。
だが、いざシーズンがはじまると、コリンチャンスはまずサンパウロ州選手権で優勝。5月に全国選手権がはじまってからも、開幕から連勝続きでダントツの首位に立った。
その中でジョーは、現セレソン監督のチッチ氏の助監督を8年務めたカリーレ新監督の信頼を得て、不動のセンター・フォワードの座をつとめた。カリーレ監督の下で自信を回復したジョは、コリンチャンス快進撃の原動力となった。
今シーズンのジョーは、残り2試合の時点で、33試合に出場し、18得点。フルミネンセのエンリケ・ドウラードと並び、得点王争いのトップに立っている。
ジョーのこの活躍を前に、現在、「もう一度ブラジル代表に」との声もあがりはじめている。グローボ局の名物解説者で、コリンチャンスの元ストライカーでもあるカーザ・グランデは、「彼をブラジル代表に入れるべきだ。現状は、センター・フォワードの控えのロベルト・フィルミーノよりも上だ」と放送で力説した。
その気持ちはカリーレ監督も同じだ。ジョーの技術や身体能力などを熟知する同監督は、「私は代表監督のチッチにジョーを是非推薦したいと思っている。今の彼は精神的、肉体的にもそれにふさわしい選手だ」と、賞賛を惜しまない。
カリーレ監督はジョを、「彼の得点パターンはカウンター攻撃(速攻)に偏ることがなく、チームとして、中盤を丁寧に組み立てて攻撃する時(遅攻)のフィニッシャーとしても有能だ」と評価している。
現在、ブラジル代表では、センター・フォワードの控えの座を、フィルミーノの他に、ジエゴ・コスタ(スポルチ)やタイソン(シャフタール・ドネツク)などが争っているが、センター・フォワードを本職としているのはジョーだ。
今のブラジル代表でレギュラーを掴んでいるパウリーニョは、14年W杯の後、中国リーグに移籍し、選手としてのキャリアの本流から外れていたが、チッチ監督が代表に抜擢し、見事復活。今ではバルセロナでプレーするまでに名声を取り戻した例がある。
偶然にもチッチの弟子のカリーレも14年W杯メンバーであるジョを鮮やかに復活させた。もしパウリーニョとジョーがブラジル代表としてロシア行きのメンバーに揃えば、18年W杯でのリベンジのシナリオはより強固になるかもしれない。(21日付エスタード紙電子版などより)
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