ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》テメル大統領がマイア下院議長に再接近=新都市相に腹心人物で誠意=BNDES総裁人事も配慮?=社会保障改革に協力不可欠

《ブラジル》テメル大統領がマイア下院議長に再接近=新都市相に腹心人物で誠意=BNDES総裁人事も配慮?=社会保障改革に協力不可欠

ロナウド・ノゲイラ労働相(Edu Andrade – ASCOM/Ministério do Trabalho)

ロナウド・ノゲイラ労働相(Edu Andrade – ASCOM/Ministério do Trabalho)

 社会保障制度改革などを連邦議会で通過させることを目的に、テメル大統領が、ロドリゴ・マイア下院議長に近い人物を都市相に選ぶなどの策に出ていると、20日付現地紙が報じている。

 テメル大統領は19日、マイア議長宅を訪れて、昼食を共にした。そこには、先週末、大統領から次期都市相就任を正式に要請されたアレッシャンドレ・バウジー下院議員の姿もあった。
 バウジー氏は、下院内でもマイア議長に最も近い人物と目されている議員で、都市相就任も内諾済みだ。
 都市相は、前任のブルーノ・アラウージョ氏(民主社会党・PSDB)が辞任したことでPSDBの連立離脱が避けられないと判断された時点で、連立与党内の大型党の進歩党(PP)に回されるのものと見られていた。バウジー氏はPPの議員だったが、現在は新党のポデモスに移籍依頼を出している段階だ。
 こうした人事をすることでテメル氏がマイア氏を喜ばせようとした背景には、ブラジル社会党(PSB)が内部分裂を起こした際、マイア議長の民主党(DEM)が受け入れようとしていた、PSBを離党した下院議員を、大統領の民主運動党(PMDB)が横取りする形となって以降、両者の関係が微妙になっていたためだ。
 マイア氏の協力が得られないことで、連邦政府の目標である社会保障制度改革や大統領令(暫定令)の審議、承認ができなくなるような事態をテメル氏は避けたがっている。
 さらにテメル氏は、マイア氏が気に入っていないとされる社会経済開発銀行(BNDES)のパウロ・ラベーロ・デ・カストロ総裁の後任を、マイア氏の意向に沿って選ぶことも示唆したと言われている。
 マイア氏はテメル氏がラベーロ氏を6月に指名した際、それがマイア氏に相談もなく行われたことを遺憾に思っていた。マイア氏には、同総裁に関して意中の人物がいたためだ。
 ラベーロ氏は、地方自治体から連邦政府への補助金の返済額を大幅削減したため、連立与党外の勢力からの批判が高かったが、ここに来て、連立与党内からの反発も強くなっている。それは、18日に開かれたキリスト教社会党(PSC)の党大会で、同氏が同党の大統領候補として発表されたためだ。
 ラベーロ氏自身は「PSC加入は国の今後について論じるため」とし、大統領選出馬に関する質問をはぐらかしたが、連立与党内からもこの発表後、「大統領選に出馬するなら、BNDES総裁は続けられないはずだ」との声が出ている。大統領はまだ、後任者を決めきれていない。
 大統領は同日午後をマイア氏と過ごし、大統領府総務室長官からの配置転換が有力視されているアントニオ・インバサイ氏の後任候補などについても同氏の意見を訊いた上、写真にも納まった。