サンパウロ市西部にあるサンパウロ総合大学(USP)構内のウニヴェルシタリオ病院(HU)が、21日から小児科の救急外来を閉鎖したと同日付現地紙サイトが報じた。
HUは、USPの学生や職員だけではなく、近隣の住民の必要にも対応している病院で、USP医学部生にとっては、研修の場所でもある。
だが、近年は同病院が受け取る資金が減っている事などから、昨年からは、希望退職を募って医師や職員の数を削減したり、眼科の対応と救急外来の対応を制限し、夜間対応も急を要する例だけに限定したりする動きが出ていた。
これを不服とするUSP医学生らは13日からストに入っているが、学生達は、「ストを行っていてもHUでの対応は怠っていない」としていた。
だが、資金難や職員の不足などの理由で、21日からは小児科の救急外来も閉鎖された。サンパウロ州政府によると、HUは独立経営で、USP側もこの問題に関しては口を閉ざしている。
HUはサンパウロ市保健局とも交渉し、医師派遣などを含む合意成立を目指していたが、13日の会合で代替案が出て来た事と、HUの名前がクレジット不払い記載台帳(Cadin)に掲載されている事が21日に確認された事で、サンパウロ市がこれ以上の経済的な支援を行う事が出来なくなった。
ブタンタン地区には、保健所(UBS)や救急診療所(AMA)といった医療機関が27あるため、HUは今後、これらの医療機関から紹介された救急患者にのみ対応する事になるという。
近隣の住民の中には、小児科の救急外来閉鎖を知らずに子供を連れて来たが、病院の入り口に張られた紙を見て途方にくれる人達もいた。
HUの対応縮小は、近隣住民にとっての医療の幅の狭まりと共に、将来の医師の研修、育成の場の縮小も意味する。
22日のTVニュースでは、リオ連邦大学付属病院でも医薬品の不足や医師が足りず、患者への対応不能といった事態が起きている事を報じており、大学や付属施設の経営難はサンパウロ州立の大学に限らない事を示している。
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