日伯協会(三野哲治理イチョウ、兵庫県神戸市)の機関紙『ブラジル』977号を見ていたら、兵庫県加古川市のソールフード「かつめし」をブラジルに広める活動の報告が出ていた。「かつめし」は、洋皿に盛ったビーフカツにデミグラスソースなどをかけて、ゆでたキャベツを添えて箸で食べるもの。終戦直後に加茂川のあるレストランで「お箸で気楽に食べられる洋食はでけへんやろか?」と考案されたものらしい。同報告によれば、マリンガー市のレストラン「アジア」のメニューにこれが加わったとのこと。ブラジル初だ。ぜひサンパウロ市のレストランにも伝えて欲しいところ!
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『ブラジル老荘の友』11月号には夫婦愛のエピソードを綴った「ビウボ(男やもめ)で悟ったこと」(早川正満)があった。愛妻をなくしたばかりの寂しい心境を描く。《「年老いた寂しげな移民の姿をみつけた」と思って近づいてみたら、自分だった。自分の魂がちょっとしたイタズラのように体から離れて、上から見下ろした自分だった》との幽体離脱体験から始まる。妻が《「パパイ、昨日は自分一人で便所に行けたよ」とニコニコして言う。彼女も長患いで苦しんでいたのだろう。「それは良かったな」と応えると、くるっと向きを変えて行くので「おい、一人でどこへ行くんだ」と声をかけ、「あっ、これは夢だ」と気がついた》。さらに《この世に残った私に、成仏を見届けさせてくれた妻の後姿をいつまでも追い、しばらく床の中で安らいでいた》。