最高裁は23日、政治家が犯した犯罪に対する裁判などに関する免責特権「フォロ・プリヴィレジアード(以下、FP)」に関する規制についての投票を再開した。投票中に再考要請が出たため、最終結果は出ていないが、「最高裁での裁判は、大統領や連邦政府閣僚、連邦議員が任期中に各役職との関連で犯した犯罪のみに制限する」方向で11人中8人の判事が賛成するなど、修正に傾きそうな流れにあると、24日付現地紙が報じている。
FPは、大統領や閣僚、上・下院議員、州知事、市長、司法関係者らに与えられている免責特権だ。役職により待遇は異なるが、役職遂行のため、「現行犯でない限り逮捕されない」などの特権がある。
だが、このFPの存在は、ラヴァ・ジャット作戦以降に顕著になってきた政治家の犯罪に対する捜査の足かせになったりして、国民の不満の対象となっている。現在は、連邦議会内でも「廃止」ないし「制限」を求める声が上がっており、法案を審議中だ。
23日の最高裁での投票もそうした世論の後押しを受けたものだが、本来は、選挙違反で起訴された元下議が昨年の市長選で市長に当選したことで、管轄を移すべきか否かという問題が起きたことで始まった審理で、4人の判事が投票した後に再考要請が出て、審理が中断していた。
再開された審理で争点となったのは、「上議、下議の裁判特権の変更」についてだ。多くの最高裁判事は、上・下議に対する最高裁での裁判は、あくまで、その人が現職中にその役職との関係で犯した犯罪のみに限定するべきで、それ以外の場合(議員になる前に犯した犯罪や殺人などの一般犯罪)に関しては、それぞれの状況に即した裁判所で扱うべきとの報告官の意見を支持した。
現行のFPでは、大統領や閣僚、上・下議の裁判は最高裁のみ、州知事は高等裁から、市長は2審担当の地域裁からと定められている。
最高裁判事の多くは、「役職が変わるたびに管轄する裁判所を変える」ことで裁判案件をたらい回しにするのではなく、犯行時の役職に従って審理することで案件の整理が出来ると考えている。報告官のルイス・ロベルト・バローゾ判事によると、最高裁が現在扱っているFP案件528件は、90%減の50件に削減されるという。
ジアス・トフォリ副長官が再考を要請しため、23日は最終決定が出なかったが、バローゾ、マルコ・アウレーリオ、ローザ・ウェベル、エジソン・ファキン、ルイス・フクス、セウソ・デ・メロ各判事とカルメン・ルシア長官の計7判事が任期中の役職絡みの犯罪にFPを制限することに賛成。アレッシャンドレ・デ・モラエス判事は任期中なら役職に無関係な一般犯罪も最高裁で扱うべきとした。トフォリ、ジウマール・メンデス、リカルド・レヴァンドウスキーの3判事は未投票だ。