ブラジル地元紙が入手した、上院の独立税務機関(IFI)による財務調査書によると、10月の連邦政府会計は、4月から9月まで6カ月続いた単月度赤字から一転し、35億レの黒字となる事が分かった。
インフラ設備や公社の民営化などに伴う特別収入を差し引いた後の税収などの通常収入はインフレ率以上の伸びを見せ、実質で前年同月比9・9%増となった。通常収入が前年同月比で実質増となったのは、8月の10・78%、9月の8・6%に続き、3カ月連続だ。
IFIは税収改善を認める一方、今月17日に連邦政府が凍結予算320億レアルの中から75億レアルの開放を決めたことなど、ここ2カ月間は支出も増加していることも明らかにした。
IFI幹部のフェリペ・サウト氏は、今年の財政目標である、基礎的収支の赤字上限1590億レアルは達成されると見ているが、そのためには特別収入の伸びと、政府の裁量でカットできる経費(裁量経費)の切り詰めが不可欠だという。
10月最大の裁量経費切り詰め例は、政府の住宅供給政策「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィーダ」で、投資額は昨年同月比で72・7%も削られている。
サウト氏は、「昨年制定の歳出上限法を守ることと、公的債務が膨れ上がらないようにする事を両立させなくてはいけない」と語り、主に中期的視野で解決しなくてはいけない事項が多いとしている。
政府の総負債額は、過去12カ月間で3・9%ポイント上昇した。IFIは、財政改革などに失敗し、最悪の展開となった場合の総負債額は、2020年か21年にGDPと同額以上になり得るとしている。
IFIの調査書は、今年10月までの累積政府赤字は1050億レであることも示している。10月はRefis(企業の滞納税回収計画)による特別収入が16億レアルあったが、昨年10月は、レパトリアソン法による特別収入が463億レアルもあった。
IFIのデータによると、10月は、経済活動の活発さを測る目安となる、社会統合基金と社会保険融資納付金((PIS/Cofins)による税収が12・6%も増大した。また7月に決定された、エタノール燃料にかかる税率上昇により、税収も上がった。
IFIでは、今年の支出は前年比で約4・4%増える一方、純収入は前年より3・3%減ると見ている。