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《ブラジル》アリアンサ=竹中平蔵慶応大名誉教授講演会=日韓北を取り巻く政治経済情勢

講演中の竹中教授

講演中の竹中教授

 アリアンサ(日伯文化連盟、大城幸雄理事長)は、慶応大学名誉教授の竹中平蔵氏を招聘し『日本、韓国、北朝鮮を取り巻く政治経済情勢』をテーマに講演会を17日、ピニェイロス文化センターで開催した。同連盟61周年記念事業の一環。会場となった同センターの宮坂国人講堂には約100人が集まり、竹中氏の講演を興味深く傾聴した。竹中氏は北朝鮮の核開発問題、中国の国家資本主義と近隣諸国の状況などついて説明した。
 竹中氏は「憲法で戦争を放棄しており、国内外から平和で安定した国だと思われている日本だが、アジア諸国で起きている政治的な変化に目を向けなければならない時期に来ている」と北朝鮮の核開発問題への対応について語った。
 北朝鮮は凍結していた核開発を再会し、現在では搭載用長距離弾道ミサイルも開発完了した予測される。これに対し、米国は武力行使を含む「全ての選択肢を対策として考慮する」としている。「最も現実的な政策は、北朝鮮に対し強い影響力を持つ中国の説得。しかし日米中韓の間で温度差がある」と説明した。
 日米は「中国からの強い圧力、国際社会全体の北朝鮮に対する制裁」を求めている。それに対し、韓国は「圧力よりも対話を重視したい」とやや否定的な姿勢で、中国は「各国の経済制裁の効果を見てから決めたい」と慎重な立場だ。
 また、中国のGDPは日本を越して、現在では2・4倍にもなったことに触れ、「自国を大国と認識し始めるなど、ここ数年の中国の経済・政治の性格が大幅に変化した」と指摘した。
 各国の経済成長については、「ある国が強くなれば近隣国も恩恵を受ける。『経済が良くなるのは良いこと』というのが一般的な認識」と説明する一方で、「日米から見ると、中国が『国家資本主義』という特殊な形態で経済を発展させていることが地政学的な問題になる」と語った。
 竹中氏は「中国にグーグルやアマゾンなど米大企業は入っていないが、国内企業のアリババはアマゾンの売り上げを追い越すなど、今や米国に並ぶ大国となり、世界の経済システムに影響を及ぼしている」とした上で、「その特殊な発展をしている中国が世界の発展に貢献する国になるよう、他国も協力するべき」と近隣国との関係について考えを述べた。
 講演会に参加したハタヤマ・タエコさん(49、二世)とイアラ・ローザさん(36)は「ブラジルにここまで詳しいニュースが届くことはない。アジアのことを深く知ることができ参加した甲斐があった」と語った。