ブラジル日本文化福祉協会(呉屋春美会長)が、『2017年度にっけい文芸賞授賞式』を4日午後、文協ビル貴賓室で開催した。式典には野口泰在聖総領事など来賓のほか、受賞者の家族や友人など関係者約80人が出席した。
日本語部門では、サンパウロ新聞70周年記念誌『ブラジルの大地に生きる』、随筆集『どこからきたの』(大門千夏)が佳作に入賞した。
日語部門受賞者の大門さん(76、広島県)が代表挨拶を述べ、「年齢を重ね何もすることがなく、何をしようと思っていたが、今回の受賞で執筆という楽しみができた」と喜びを見せた。
その後、浜照夫委員長が各作品の講評を発表。サ紙70周年記念誌については、「広大なブラジルに住む各移民のところまで行き個人の人生を取材したもの。歴史に残る努力の証」と語った。
また、大門さんの作品については、「次から次へと惹き込まれどんどん読んでしまう。父が香水販売をしていたため大門さんの嗅覚も鋭い。その大門さんの嗅覚が活かされた話は一読の価値あり」と評した。
ポ語部門では『哀歌―第5の歌』(ルシア・レモス)、『グレミオ・ハイカイ・イペー』(アントニオ・ファビオ)、漫画部門はレチシア・ユキエ・タマヨセさん、ウィリアム・セイジ・タカオカさんが受賞した。
ポ語部門の講評を担当した後藤田怜子さんは、『哀歌』について、「伯社会に日系社会がどれだけ混ざっているかを示す小説。漫画をベースに書かれ、文学に移っていく様子が面白い」と講評した。