インフラ関連事業などでブラジル進出が著しい中国企業の一つ、中国交通建設股份有限公司(CCCC)が、ブラジルの南部3州を走る南部鉄道(Malha Sul)の株式購入を考えていると29日付現地紙が報じた。
コーザン・グループのRumo(旧ALL)が運営する南部鉄道は、サンパウロ州内の2039キロを含むと総延長7208キロの貨物鉄道だ。
サンパウロ州内の路線の運営権は2028年に契約が切れるが、契約が更新されれば、更に30年間、運営を担当する事になる。市場では、サンパウロ州内の2039キロ分の契約更新は路線全体の運営権延長を意味すると見ている。その場合は、50億レアルの投資も求められる。
鉄道事業は多額の投資が必要で、契約更新がなければ旨みは少ない。南部鉄道の場合は、設備の改修なども必要な上、2006年以降の貨物輸送量は2万8900トンから1万8300トンに減少している。また、全ての路線で採算が取れている訳ではなく、アルゼンチンへの貨物輸送は今年はじめに停止された。
南部鉄道の株式購入に関心を示しているのはCCCCだけではなく、三菱、住友の計3社が交渉中だ。CCCCは、向こう10年間の投資60億レアルを含む、80億レアル相当の提案を行ったとされている。
CCCCはRumoの持つ株式の55~60%の取得を望んでいるが、Rumo側は経営上の主導権を手放す気がないため、取得できる株式は50%以下となる可能性が高いようだ。
CCCCは、昨年11月に建設会社のコンクレマット・エンジェニャリア・エ・テクノロジアの株式80%を3億5千万レアルで取得。今年4月には、WTorreと組んでマラニョン州サンルイス港の運営権も取得している。
近年は中国企業のブラジル進出に拍車がかかり、2014~17年のブラジルへの投資額は、米国への282億ドルに次ぐ、213億ドルに達している。