最高裁が11月29日に石綿の使用を全面的に禁ずる判断を下した。石綿は発がん性などが問題視され、多くの国で使用禁止となっている。
だが、ブラジルでは、1995年に制定された連邦法9055/1995号で制限付での石綿の使用を認めており、州毎に使用を認めるか否かの判断に差があった。
今回の判断は石綿の採取や工業製品化、流通販売といった行動の全てを禁ずるものだが、鉱業関係者から出されていた、労働者解雇や販売停止までの猶予期間についての論議は行われなかった。
同件の審理は8月に始まったが、使用禁止に5票が入った時点で中断していた。このため、サンパウロ州、リオデジャネイロ州、リオ・グランデ・ド・スル州などのように、州条例で使用を禁じていた州と、石綿の採掘を行っているミナス鉱山などがあるゴイアス州のように、使用を認めていた州が混在する状況が続いていた。
最高裁での審理は、全国工業界労働者連合(CNTI)が10年前に提出した、石綿使用を認めるよう求めた嘆願書に関するものだった。CNTIは、労働者は石綿の粉には直接触れておらず、石綿の使用を禁じたサンパウロ市の条例は受け止められないとしていた。
労働省その他の団体は、石綿が雇用創出や輸出促進、建設資材の経費軽減などの点で国の経済に貢献してきた事を認めつつも、発がん性や環境汚染という側面から使用を禁ずるよう訴えていた。(11月29日付アジェンシア・ブラジルなどより)
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