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サンパウロ=難病FAP啓発活動=大きな足のモニュメントが市内に

 「大きな足の上を這い回る何十匹もの蟻」「いくつもの枕の上に乗った大きな足」「焚き火を踏み消している素足」―。普通の人の身長をゆうに超える高さのモニュメントがサンパウロ市内に置かれている。
 巨大な足の上を蟻が何十匹も這いまわっているようなモニュメントは、決して見て気持ちのよいものではなく、醜悪とさえいえる。しかし、それを見た人に大きなインパクトを与えるという意味ではこの試みは成功だ。
 ブラジル神経病学会(ABN)が、製薬会社ファイザーの資金援助を受けて行ったキャンペーンは、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)という疾患への理解を広める事が狙いだ。
 三つのモニュメントを作成したエドゥアルド・スル氏も、依頼を受けるまでFAPの事を知らなかったという。モニュメント作成の狙いは、「見た人が足を止め、忙しい生活の中で少しだけでも時間をとって、FAPについて知ってもらう事」としている。
 「何十匹の蟻」や「まくらの上の足」、「火の気が残る焚き火の跡を素足で踏んでいる様子」は全てFAPにかかってしまった場合の症状を表している。
 FAPは、足がチクチクしたり、まるで足だけ寝てしまっているように感覚がなかったり、焚き火の跡を素足で踏んでいるかのような痛みを感じるなど、初期症状が足に現れる病気だ。
 悪化すると、下痢や立ちくらみ、排尿障害などの症状が出て、体重減少や心電図異常などが加わる。重症化すると心不全や尿毒症、肺炎などが起こり、数年〜数十年で死に至るケースもある。
 サンパウロ連邦大学(Unifesp)教授で、ABNメンバーのアカリー・オリヴェイラ氏は、FAPはポルトガル北部の小都市、ポボア・デ・ヴァルジンが起源で、ポルトガル移民がブラジルに持ち込んだとされていると説明した。
 FAPは10万人に1人程度がかかる遺伝性の病気で、全身の多くの器官に異常な蛋白質が蓄積する病気の中でも、神経障害を主な症状にするものをいう。
 家族や親族にFAPにかかった人がいると心配している人々への朗報として、FAPの症状の進行を抑える新薬が承認されたことや、蛋白質の蓄積を妨げ、FAPの遺伝を食い止める治療法がテスト段階に入っていることも、オリヴェイラ氏は明らかにした。(11月30日付エスタード紙、フォーリャ紙などより)