20年がかりの地道な翻訳作業が結実し、ブラジル本門佛立宗(高崎日現教区長)は念願だった『日ポ・佛立御教歌要集』(コレイア教伯・佐藤雅江共編)を先月28日に発刊した。
開祖・日扇聖人の生誕二百周年に併せ刊行された同集は、法華経を中心にした御教歌1772首を収録。日語、ローマ字ルビ、四行の詩文形式でポ語訳文が付され、韻や音を踏まえつつ、含意が削がれないよう逐語訳式に則して翻訳された。
翻訳作業にあたってきたモジ隆昌寺コレイア教伯は「実際に修行に身を置く生身の人間でなければ御教歌を解せないし、人生経験が未熟でもまた不完全となっていた。時間をかけて、非常に完成度が高いものが出来上がった」と自信を覗かせる。
「完全な翻訳は不可能といわれるなか、ポ語は細かいところに届く柔軟な言語。だからこそ、深みにはまる言葉を表現できた」とも。パラナ州国立大学のフアラコ言語学教授によれば、梵語、日語、ポ語が世界三大難語とされているという。
「英訳では言語表現が乏しい。佛教伝播の媒介となるのは、ポ語だと考えている。忠実にポ語に翻訳されることで、多言語にも翻訳される時代が到来する」とも。当地における佛教伝播にとって、重要な一冊となりそうだ。
初版は2千冊刊行。関心のある方は、同宗各寺まで問合せを。(航)