23日に84歳を迎える今上陛下のお誕生日を祝して、天皇皇后両陛下の肖像画が常設されるサンパウロ日本移民史料館9階で、祝賀会が1日に開かれた。プロミッソンやドラセナなどサンパウロ州奥地からも慶祝に駆けつけ、日系団体代表者ら約70人が集った。正午からは在聖総領事公邸でも祝賀会が催され、およそ400人が天皇皇后両陛下のご健康を祈った。
午前9時、文協女性コーラス部による日伯両国歌斉唱が始まりを告げた。呉屋春美文協会長は挨拶で、在京ブラジル大使館で開催された『天皇皇后両陛下ブラジル初訪問から50周年 永遠の絆を築いて』展を熱心に鑑賞された両陛下のご様子について言及した。
「コレアドラゴ駐日大使によれば、両陛下は『50年前の最も美しい印象は、移住した日系人が社会に溶け込んでいる姿を見たこと』とお話された」と紹介し、「まるで嫁いだ娘を心配する親心のようで、胸を熱くしました」と語った。
9月に正式決定した眞子内親王殿下のご婚約内定について祝意をのべ、皇族ご来伯に期待を寄せ、「移民110周年を通じて、友好関係を築き逞しく生きている移民の姿を見て頂きご安心頂ければ」と締め括った。
祝辞を寄せた関口ひとみ在聖首席領事は「天皇皇后両陛下に謁見した移住者に話を聞くと、ブラジル日系社会のことをお尋ねになり、常に日系社会にお気持ちを寄せて来られた」と語り、「来年は特別な日伯の友好関係が新たな歴史を刻むことになる。両国にとって素晴らしい一年になる事を祈ります」と期待を寄せた。
移民110周年記念祭典委員の菊地義治実行委員長による万歳三唱の後、与儀昭雄援協会長の乾杯で会場は沸き、皇室の弥栄を祈った。
来年、上塚植民地100周年を迎え、皇室御訪問が期待されるプロミッソンからも安永忠邦さん(96、二世)が出席。「大変めでたいこと。元気なうちはサンパウロ市まで来てお祝いしたい」と背筋を伸ばした。
秋の叙勲で旭日双光章を受勲し、先月の伝達式で陛下に謁見した菊地委員長は、「受章者が二列になり陛下が通られるのも待つ間、思わず『有難う御座います』と頭を下げたところ、陛下が立ち止まられ、ご質問を受けた。ブラジルから来たことを知ると、じっと私のことを見つめ、思い出されたかのように微笑みかられた」という。
菊地委員長は「お帰りの際に通りかかられ、再び手を振って頂いた。まるで『日系社会の皆さんに宜しく』といっておられるようだった」と喜びを浮かべた。
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親戚を尋ねて日本から来伯し、天皇誕生日祝賀会を知って参加したという長澤音三郎さん(89、栃木)。「戦前は昭和天皇の誕生日には小学校も休校となって祝ったもの。今の日本では、陛下のお誕生日祝賀会はやっていない。それをブラジルで続けているのは大変素晴らしい。遠く近い国というが、まさにその通り」と手放しで賞賛した。