ブラジル連邦医師審議会(CFM)が行った調査によると、統一医療保険システム(SUS)による非緊急の手術を待っている人の数は、少なくとも90万4千人に上り、その一部は10年以上も手術を待たされている事が分かった。4日付現地紙が報じている。
この調査は、ブラジル国内各州と各州都の保健局のデータを集めて行われたが、返答したのは16州と10州都のみで、実際の手術待ち患者数はより多くなる事が確実だ。
今年7月に保健省は、手術待ち患者数を80万4千人と発表した。同省は先週、その数を66万7千人に修正したが、CFMの発表は、これよりずっと大きい。
CFM会長代理のマウロ・リベイロ氏は、「CFMのデータも保健省のデータも、実際の数より少ない。データを送って来なかったり、データを持ってなかったりする州や州都もあるからだ。手術が必要だが、専門医のいる医療機関に紹介すらされていない人もいる」と語った。
リカルド・バロス保健相も、「各州政府がムチロン(無料で行う集団診療や手術)をやり始めた時、それを利用して手術を受けた人の多くは、各州が提出した手術待ちリストに含まれていなかった。このことは、我々の把握している数字が実態通りではないことを示している」とした。
マウロ・ブリット氏は、「手術が遅れると患者の容態はずっと悪くなり、救急外来などに運び込まれる例も出てくる。そうなれば、命のリスクも医療機関の負担もずっと重くなる」という。
セアラー州、フォルタレーザ市の店員、アナ・ゴンサウヴェスさん(52)は、2012年から泌尿器科手術を待たされている。当初の症状はまだ軽かったが、今年の検査で右の腎臓は13%しか機能していないことがわかり、右の腎臓に関しては、機能回復手術ではなく、全摘手術となると宣言された。「左の腎臓も機能しなくなったらと考えると怖い。『手術はいつ?』と苦情を言っても、『辛抱強く順番を待ってください』としか言われない」と不安な胸中を明かした。
ブラジル全体では10年以上手術待ちのケースが少なくとも750件あり、サンパウロ州では12年も手術が受けられずにいるケースもある。
主な手術待ちは、白内障(11万3185件)やヘルニア(脱腸)(9万5752件)、胆嚢または胆石摘出(9万275件)、静脈瘤(7万7854件)、咽頭扁桃除去(3万7776件)などで、この5種類だけで全体の半分近くになる。