ブラジリアの衛星都市セイランジア市の消防隊員が3日の未明、同市の消防署から消防車を盗み、首都ブラジリアまで30キロ弱の道を暴走する事件を起こした。だが、各省庁の集中するエリアに差し掛かる大聖堂付近で警察がタイヤをパンクさせ、暴走を食い止めたと、4日付現地各紙が報じた。
軍警は発砲の理由を、消防士が再三の停車命令に背き続けたためとしている。軍警は、消防車が議事堂や庁舎に突っ込み、被害拡大を起こす事を最も懸念していた。
消防士の身元は明らかにされていないが、現行犯逮捕され、消防の監督局に連行された。この消防士は、加重量刑付きの窃盗罪、命令違反、軍所有物破損、公共物破損未遂などの罪に問われ、身柄は連邦直轄区の消防隊拘置所に置かれる。
保安局によると、消防士は非番だった3日未明にセイランジア市の消防署に着き、許可もなく消防車に乗り込み、発車した。同僚が消防車を追跡し、軍警にも通報した。
軍警は追跡開始当初、実力行使は避け、ガソリン切れを待つ方針だった。しかし、消防車がブラジリアの官庁街に向かっていることに気付いた時点で方針は変更され、強制停車させた。消防車の中からはビールの缶も発見されている。
保安局、消防署、軍警、市警は連名で、「初期調査の時点では、テロ行為と特徴付けられるような物証などは見つかっていない」とする書面を出している。