ブラジル中銀は5、6日にかけて行われた通貨政策委員会(Copom)において、経済基本金利(Selic)を0・5%ポイント(%P)引き下げ、年7・00%にする事を全会一致で決定したと、6、7日付現地紙・サイトが発表した。
Selic引き下げは、昨年10月以降、10回連続で、Selicが通貨政策上の指標となった1999年以来、最低の金利となった。これは国債で多くの負債を抱える政府にとっても、返済利息が下がるので有利な決定だ。
テメル大統領も早速、「皆さんにとって良い知らせで、我が政権が発足以来、継続して行ってきた諸政策の成果が出た」とのメッセージ動画をネットに投稿した。
Copomは、来年2月にも下げ幅をさらに縮小しての金利引き下げを示唆したが、社会保障制度改革の行方次第だとした。マイルソン・ダ・ノブレガ元財相も、「社会保障制度改革が年内に採決にかけられなければ、2月の利下げは行えないだろう」と語っている。
中銀は6日、次回(来年2月)のCopomでSelicが6・75%になったとしても、これ以上の引き下げの余地はないとし、インフレ圧力が高まり、金利引き上げの必要性が出てこない限りは、しばらく据え置かれるだろうとしている。
中銀は、今年の広範囲消費者物価指数(IPCA・インフレ率)は2・9%になると見ている。予想通りなら、皮肉にもインフレ率が低すぎて「年間のIPCAを4・5%±1・5%P以内に収める」という目標不達成となる。中銀は、来年と再来年のインフレ予想を4・2%としている。
Selicは最低値まで下がったものの、銀行が一般消費者や企業に融資を行う際の金利は最低には程遠い。
銀行各社は、債務不履行による融資の焦げ付きが多いことを理由にあげているが、この理由は企業向けの融資には当てはまっても、個人向け融資には当てはまらない。
中銀が10月に発表した最新調査では、銀行の個人向け融資の平均利率は年132%だったが、個人融資での債務不履行率は8%だった。
ジウマ政権時の2012年11月、Selicが年7・25%だった時の個人向け融資の平均金利は年66・3%で、債務不履行率は8・8%だった。
また、金融コンサルタント会社の調べによると、この1年1カ月間の大幅な金利引き下げにもかかわらず、ブラジルの実質金利(金利からインフレ分を差し引いたもの)はかなりの高水準だ。
ブラジルの実質金利は2・88%で、世界経済における主要40カ国の中では、トルコ(5・87%)、ロシア(4・18%)、アルゼンチン(3%)の3カ国に次ぐ4番目の高さだった。