議会が休暇に入る直前の18~20日に下院での社会保障制度改正案の投票を実施することを目指し、連邦政府の動きが慌ただしくなっているが、現状では承認に必要な得票数にはかなり足りていない状況が続いていると、12日付現地紙などが報じている。
社会保障制度改革は財政健全化のための最優先かつ必須事項で、連邦政府は、年内に下院での審議を開始し、承認まで得たいと願っている。
10日付G1サイトや11日付アジェンシア・ブラジルによると、テメル大統領やジオゴ・オリヴェイラ企画相は10~11日に、「年内に承認を得られなければ来年には承認を得る」と発言。企画相は「承認までに要する時間が長い程、今後の修正幅が大きくなる」とも語っている。
下院での審議日程については、ロドリゴ・マイア議長が9日に14日に審議を開始する可能性を公言。連立与党は、18日に初回承認との観測も打ち出している。
だが、現時点で社会保障制度改革に「必ず賛成票を投じる」と表明済みの下議は64人のみで、227人は反対の意向を示している。また、108人の下議は、まだ意思決定を下していない。
連邦政府は「現状では270人が賛成に投じるはず」と見ているが、その票では憲法改正に必要な308票には大きく届かないのが現実だ。
そうしたこともあり、連邦政府の一部で「下院での投票を休暇明けの2月まで延期した方が良いのでは」との意見も上がりはじめたのを反映したのが先の発言だ。
だが、来年は選挙年であるため、来年に持ち越すとやっかいだ。選挙年には議員も国民に不人気な法案を通過させたくないため、社会保障制度改革承認の確率はより低くなるとの見る人が多い。そのため連邦政府は、何とか年内に下院で承認させるべく積極的に働きかけている。
その手段のひとつが、11日にテメル大統領が保健相、都市相、国家統合相に命じた議員割当金解放だ。12日付フォーリャ紙によると、その額は5億レアルに上る。
12日付エスタード紙は、(大統領の要請で)ブラジル化学工業会やブラジル建築産業会議所、各州の大型建築業組合などの諸団体上層部が、メールや電話、下議との面会や自宅訪問などで、社会保障制度改革法案に賛成するよう働きかけている様子も報じている。大統領は12日も企業家たちとの会合を開き、一層の協力を仰いでいる。
大統領は13日も全国から市長を呼び、計20億レアルを解放することと、法案が承認された暁にはさらに30億レアルを解放することを約束する予定だという。
社会保障制度改革に関しては連立与党の間でも足並みが揃っておらず、社会民主党(PSD)と共和党(PR)が難色を示していることから、そのための対策も講じられると見られている。
エンリケ・メイレイレス財相は12日、社会保障制度改革案は来週には投票との見解を示した。