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党の方針より大臣職の名誉?=以前に巨額退職金求め、話題の人権局長

ルイスリンダ氏(TCE-BA)

ルイスリンダ氏(TCE-BA)

 党の方針で連立政党を抜けたら普通、その政党の大臣職は返上されるもの。だが、ルイスリンダ・ヴァイロス人権局長の場合は勝手が違った。
 14日、ルイスリンダ氏は所属の民主社会党(PSDB)に突然、離党届を提出した。
 その理由は明らかにされていない。だが、PSDBはかねてからテメル政権から離脱する以降を示しており、4人いた大臣のうち、既に2人が辞表を提出していた。
 ブラジルの法律では大臣職にある人物がどこかの政党に所属することを義務化していないため、「一個人」として大臣職を請け負うことは法律上、可能だ。実際、同党のアロイージオ・ヌーネス氏は、テメル大統領と古くからの友人でもあるため、「個人的関係で」PSDBに残りながらもテメル政権に残留することが決まっており、党もそれを容認している。
 ただ、ルイスリンダ氏の場合は、テメル氏との間にはそのような関係はなく、報道でも「すみやかに辞任するだろう」と予想されていた。おまけに、1カ月ほど前には、別件で辞任することを求められていた人物だ。
 それはルイスリンダ氏が行った発言に端を発している。同氏は11月初旬、連邦政府に対して、自身の退職金の額を上げるよう嘆願書を出していた。ブラジルの場合、大臣職の退職金は月3万3700レアル(約100万円)が上限と決められているが、これを6万1400レアル(約185万円)にあげるよう要求した上、「こんな奴隷労働ではやっていけない」とまで発言した。
 ルイスリンダ氏は黒人だが、一般の黒人からすればうらやむばかりの高給を稼いでおり、しかも憲法の規定に応じた退職金が払われことになっているのに、そこであたかも人種差別にあっているような発言まで行った。
 しかも、人権局長の職にある立場の人が、大金に固執するイメージを世間に対して与えるのはいかがなものか。この件が報じられると世間からの反響は大きく、辞任を求める声も多かったが、同氏は辞任しなかった。
 今回も、政党は辞めるが、大臣職は辞めないという。本人がその理由は「金と名誉のため」と漏らすことはなかろうが、疑問は強く残る。(14日付UOLサイト、G1サイトなどより)